マイクロソフト・リサーチ、機械学習で薬のリコール時期を予測
医薬品に関する不安が検索エンジンに集まっている。機械学習により、問題のある薬がいつリコールされるか予測できることがわかった。 by Jamie Condliffe2016.12.07
「OK、グーグル、私が飲んでいる錠剤の効き目に問題はない?」
できれば質問したくないことだが、日常的に薬を服用していて何か違和感があれば、こんな質問が検索エンジンに入力されるのは間違いないだろう。マイクロソフト・リサーチのエラッド・ヨム・トフ研究員も同じことを考えて、いつ薬がリコールされるか検索クエリーから予測してみようと思いついたはずだ。
結果的に、予測可能だと判明した。ニュー・サイエンティスト誌の記事によれば、アイディアを実現するため、ヨム・トフ研究員は人工知能(AI)を訓練し、300種類の医薬品に関して米国の州ごとに分類されたBingクエリーと、8カ月以上にわたるリコールの関係性を確立した。また、さらに4カ月かけてAIをテストし、メーカーがいつ薬をリコールするか予測できるか調べた。

ヨム・トフ研究員のアルゴリズムは薬がいつリコールされるか予測できたが、実際のリコールが起こるたった1、2日前にしか予測できなかった。「リコールの予測を示す最大の属性は、州ごとで特定の薬に関するクエリーのサイズが急に大きくなることだ」とヨム・トフ研究員はアーカイブ(arXiv)に掲載された論文で述べている。
「処方薬、または中リスクと推定される薬のリコールについては、検索クエリデータを活用することで発見できる可能性が高い」
検索エンジンが医薬品や健康に関する調査に使われるのは、今回が初めてではない。かつてマイクロソフトは、検索クエリーから処方医薬品の副作用の特定やがんの前兆を発見しようとしていた。一方で、インフルエンザを予測するグーグルのインフルトレンドは、期待されていたほど成功しなかったことで有名だ。
リコールを前もって正確に予測できるのはたった数日前だが、ヨム・トフ研究員はニュー・サイエンティスト誌に対し、自身の手法は監視ツールとして、もっと長期的に予測できるようになると述べている。他の検証方法と組み合わせて、医薬品に不都合が生じたことを発見する別の観点を、製薬会社や規制当局に提供できる可能性がある。
(関連記事: arXiv, New Scientist, “Can You Really Spot Cancer Through a Search Engine?”)
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- ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
- MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。