人口減らすべき? 科学者らの「気候変動対策」に批判
気候変動対策の一つとして世界の人口増加を抑止すべきだと主張する論説が、物議を醸している。アフリカやアジアの急成長中の途上国を主な標的としており、人口抑制のより積極的な対策や、途上国の成長に対する人種差別的態度を正当化するのに悪用される可能性があるというのだ。 by James Temple2019.11.15
幅広い分野の1万1000人を超える科学者たちが、「気候非常事態」を宣言する新しい論説に署名した。だが、他の研究者たちは、同論説で提案された方策の一つである人口増加の停止について即座に批判している。
「現在、年間約8000万人、または1日あたり20万人以上増え続けている世界の人口を安定させ、理想的には徐々に減らしていく必要があります」。11月5日に『バイオサイエンス(BioScience)』に掲載された論説は提案している。
論説の著者たちは、出生率を効果的に低下させる主な手段として、家族計画サービスをより広く利用可能にすること、少女と若い女性の教育を改善すること、およびジェンダーの平等を増やすことなどを挙げている。
しかし、豊かな国では一般に出生率が横ばいまたは低下しているため、この提案は主にアフリカとアジアの急成長中の途上国を対象としているようだ。国連は、出生率の高い順に並べると、インド、ナイジェリア、パキスタン、コンゴ民主共和国、エチオピア、タンザニア連合共和国、インドネシア、エジプト、米国(移住が成長の主な原動力になると予想されている)の9カ国が、現在から2050年までに予測される人口増加の半分以上を占めると見積もっている。
「先進国の多くの白人は人口を減らすべきだと言っていますが、それは『帝国主義の枠組み』という言葉に換言されるものです」とジョンズホプキンス大学高 …
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