KADOKAWA Technology Review
×
顔の特徴で遺伝病を診断「病気顔」画像データベースFace2Geneがスゴイ
TR
カバーストーリー 無料会員限定
Diagnosing Disease with a Snapshot

顔の特徴で遺伝病を診断「病気顔」画像データベースFace2Geneがスゴイ

多くの遺伝病は人の顔に手がかりが現れる。機械学習で遺伝病を学習したFace2Geneは、医者が症状を診断する手がかりになる。 by Bonnie Rochman2016.12.07

少し前、デラウェア州の遺伝学者が遺伝学者としての仕事をし、患者の診断を診断未確定の病気だと結論づけようとしていた。

デラウェア州ウィリミントンにあるA.I.デュポン子ども病院の医療遺伝子学部門の責任者であるカレン・グリップ医師は、患者の女児が広い額、濃い眉、長い人中(鼻と唇の間)をしていることに気がついた。女児は発作を経験しており、また硬く縮れた髪だったが、女児はアフリカ系アメリカ人であり、民族性のため特に注目に値するようには思われなかった。グリップ医師が女児を診察した時には口蓋破裂症と脊髄くも膜嚢胞はすでに治療されていた。

女児の症状は、グリップ医師が検討したどの症例ともぴったりとは一致しなかった。

多くの遺伝子条件には「顔」があり、独特な特徴の集合は、可能性がある診断の手がかりになる。しかし、特徴を観察することで病気を特定する異常形態学と呼ばれる実践は、遺伝学者の大きな課題だ。異常形態学で最も高い技術を持つのは、長い経験を経てきた年配の医者なのは当然だろう。人生を通して患者を診れば診るほど、より多くの特徴を観察することになる。しかし、最も経験を積んだ医療従事者でさえ、存在する全ての病気を診てきたわけではない。

調査の一環でグリップ医師は女児の写真を撮り、珍しい病気を診断する手助けとなる「Face2Gene」という顔認識ソフトウェアツールにアップロードする許可を求めた。Face2Geneは患者の顔を病気の人の合成写真と比較し、可能性がある診断を最も確かなものからそうでないものまでリストアップする仕組みだ。

テクノロジーの診断結果にグリップ医師はハッとなった。この女児の場合Face2Geneによる提案のトップはハジュ・チーニー症候群(骨粗しょう症を起こす先天性の病気)だったが、この子どものたんぱく質をコードする遺伝子のエクソーム分析によって、側方髄膜脊髄瘤に関係する突然変異があることが明らかになったのだ。側 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. AI reasoning models can cheat to win chess games 最新AIモデル、勝つためなら手段選ばず チェス対局で明らかに
  2. This artificial leaf makes hydrocarbons out of carbon dioxide 人工光合成が次段階へ、新型人工葉が炭化水素合成に成功
  3. An ancient man’s remains were hacked apart and kept in a garage 切り刻まれた古代人、破壊的発掘から保存重視へと変わる考古学
  4. AGI is suddenly a dinner table topic 膨らんではしぼむ「AGI」論、いまや夕食時の話題に
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る