KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
暗号通貨の電力消費問題、光コンピューティングは解決策になるか?
Roland Larsson / Unsplash
ブロックチェーン Insider Online限定
Can photonic chips save Bitcoin?

暗号通貨の電力消費問題、光コンピューティングは解決策になるか?

「電気喰い」で知られるビットコインのマイニング・コストを下げるさまざまな方法が研究されている。光コンピューティングを使った「光プルーフ・オブ・ワーク」は問題の解決になるのだろうか? by Emerging Technology from the arXiv2019.12.26

2017年末、ビットコイン・バブルがはじけたとき、ビットコインの価格は1万7000ドルからわずか数日で7000ドル以下にまで下落した。暗号通貨ブームは突如として終わりを迎えたようだと、世界各地のニュースで報じられた。

だが、ビットコインの価格が下がるにつれ奇妙なことが起こった。ビットコインの生成、あるいはマイニング(採掘)の速度が劇的に上がったのだ。価格が下がってもなおビットコイン・マイニングは多大な利益を生むのがその理由だった。マイニングコスト、つまりハードウェアの価格と稼働に必要なエネルギー価格の合計よりも、生成されたビットコインの価格のほうがまだ高かったのだ。

マイニング・ブームはほぼ1年間続いた。そして2018年11月、ビットコインの価格は再び暴落した。この時の価格は約6500ドルから3500ドル以下にまで下落した。

これは多くのマイナーにとって大打撃となった。突如としてビットコインはハードウェアを動かすエネルギー・コストを賄えるだけの価値を失い、鉱山は閉鎖されていった。暗号通貨の歴史上初めてハッシュレート(1秒あたりの演算回数、採掘速度)が急落し、毎秒60エクサハッシュから35エクサハッシュにまで下がってしまった。

その影響は甚大だった。それまでマイニングはさまざまな地域で実施されており、単一の国や地域が不当な影響力を持つことを防ぐ結果につながっていた。現在ではエネルギー価格が低い地域でないと採算が合わないため、マイニングは主に中国西部で実施されている。そして中国は暗号通貨に対する監視を強めており、取引所を閉鎖し、活動を規制している。

これはビットコインの存続に関わる危機だ。以来、暗号通貨の専門家は必死に解決法を模索している。

根本的な問題は、ビットコイン・マイニングの計算コストが高いことだ。暗号通貨の安全性を保つための意図的な仕掛けだが、計算には莫大な電力を使う。そして暗号通貨への関心が高まるにつれて電力消費量も増えていく。

ある概算によると、ビットコイン・マイニングは現在、年間75テラワット時を超える電力を消費している。オーストリア全体の電力消費を上回る電力だ。これでは持続可能とはいえない。暗号通貨コミュニティの望み通りに、ビットコインが指数関数的に成長するのであればなおのことだ。したがって、新しいマイニング方法が切望されている。

そこで、マイケル・ドゥブロフスキー(非営利団体PoWx)、ニューヨークの …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る