進まぬCO2排出量削減、今世紀中に平均気温「4度上昇」の恐れ
これ以上の地球温暖化を食い止めるために各国がより積極的な行動を起こさなければ、地球の気温は今世紀中に4°C近く上昇する可能性が高い。今週から来週にかけてスペインで開催される国連気候変動会議を前に、国際共同研究団体「グローバル・カーボン・プロジェクト」が、世界の危機的状況に警鐘を鳴らす最新の報告書を発表した。 by James Temple2019.12.06
世界は、今後10年以内に温室効果ガスの排出量を半減させなければ、地球温暖化が危険レベルに達するのを防げないだろう。それにもかかわらず、気候汚染物質の排出は年々増えるばかりだ。
地球の気候汚染を追跡調査するため2001年に設立された国際共同研究団体「グローバル・カーボン・プロジェクト(Global Carbon Project)」の年次報告書によると、2019年の化石燃料による二酸化炭素排出量は、3年連続で増加し、約0.6%増えて370億トンを記録する見込みだ。米国と欧州連合(EU)ではわずかに減少しているが、中国やインドなど経済成長によってエネルギー需要が増加する国では増加が予測されており、相殺されている。
実際、新興国では石油や天然ガスの利用が増加すると予想され、炭素汚染は2020年に再び増加する見込みだ。
スタンフォード大学地球システム科学部教授で、グローバル・カーボン・プロジェクトの議長を務めるロブ・ジャクソンは、「世界各地で若者たちが抗議活動をして、気候変動への関心が高まっていますが、依然として、温室効果ガスの排出量を安定化させ、削減するまでには至っていません」と言う。
この結論は12月4日、『エンバイロメンタル・リサーチ・レターズ(Environmental Research Letters)』『アース・システム・サイエンス・データ(Earth System Science Data)』『ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)』に掲載され、今週から来週にかけて200カ国以上の代表がマドリードで開催される第25回国連気候変動会議(UN Climate Change Conference)に出席する中、その重要性が強調されている。
各国が共同でコミットし、より積極的な行動を起こさなければ、二酸化炭素濃度は2030年まで上がり続け、地球の気温は今世紀中に4°C近く上昇する可能性が高い。
新興国の役割
世界の二酸化炭素排出量は2014年から2016年までは比較的横ばいだった。それはエネルギー効率の改善、石炭から汚染の少ない天然ガスへの転換、再生可能エネルギーの利用増加などが原因とされている。多くの観測筋は、この停滞時期に地球の二酸化炭素排出量がすでにピークに達したと希望を抱いた。しかし2017年、今と同じように中国とインドが牽引する格好で再び増加し始めた。
同報告書の分析によると、今年の中国の二酸化炭素排出量は、石油、天然 …
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