KADOKAWA Technology Review
×
7/30イベント「バイブコーディングの正体——AIエージェントはソフトウェア開発を変えるか?」申込受付中!
自閉傾向の子どもの発達を個別支援、USCが新ロボット
National Science Foundation
人工知能(AI) 無料会員限定
Robots that teach autistic kids social skills could help them develop

自閉傾向の子どもの発達を個別支援、USCが新ロボット

自閉スペクトラム症を持つ子どもの療育を支援するロボットを南カリフォルニア大学(USC)の研究チームが開発した。機械学習モデルを備え、ソーシャルなやり取りを通じて利用者を支援するロボットだ。 by Karen Hao2020.03.17

世界全体では160人に1人の子どもが自閉スペクトラム症を持っている。米国ではこの比率が3倍近いが、その理由は診断と報告の実施状況が異なるためである可能性が高い。自閉スペクトラム症の特徴は多くの場合、ソーシャルスキルの困難、情緒的な困難、コミュニケーションの困難にあるとされる。治癒できるものではないが、早期の介入(たとえば言語療法や行動療法)で発達状態を改善することはできる。

しかし、自閉スペクトラム症を持つ多くの子どもたちには週に20時間の療育が勧められており、人間による介入では多くの場合、費用と時間がかかってしまう。テクノロジーを使った万人向の介入は以前からあるが、対象となる子ども一人ひとりによって症状と行動パターンが大きく異なるため、設計が難しい。

幸いなことに、ソーシャルなやり取りを通じて利用者を支援する近年のロボットの発達によって、新しく有望な方法が登場した。この方法を用いれば、自閉傾向のある患者たちが、より手頃な出費でパーソナライズされた療育を受けられる。理論上は、家庭用ロボットが人間の療法士を補佐して、繰り返すことでより大きな意味があるトレーニング活動を肩代わりできる可能性がある。さらに、人工知能(AI)により、個人に合わせた療育体験を支援できるかもしれない。

サイエンス・ロボティクス(Science Robotics)誌に2月26日付けで掲載された研究は、こうした療育を家庭で推進するコンパニオン・ロボットを実現する人工知能(AI)の重要な一歩となった。マヤ・J.マタリッチ教授が率いる南カリフォルニア大学(USC)のチームが構築した機械学習モデルは、音声データと映像データ(自閉傾向のある子どもたちとロボットとの対話とアイコンタクト)から、子どもたちが与えられたトレーニング活動にしっかり取り組んでいるかどうかを予想する。取り組みが不十分な場合は、子どもたちの注意を再び療育の演習 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. Trajectory of U35 Innovators: Yoichi Ochiai 落合陽一:「デジタルネイチャー」の表現者が万博に込めた思い
  4. Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る