胸部X線画像で新型コロナ診断へ、AI企業らがニューラルネット公開
人工知能による新型コロナウイルス感染症の診断を目指す「COVIDネット」が公開された。訓練用のデータセットも提供されており、世界中の研究者の参加を促すことで開発を加速したい考えだ。 by Will Douglas Heaven2020.03.26
オープンソースのニューラル・ネットワーク「COVIDネット(COVID-Net)」が今週、公開された。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査用の人工知能(AI)ツールの実現へ向け、世界中の研究者による共同開発に役立つ可能性がある。
COVIDネットは、特に画像認識に優れたAIの一種である「畳み込みニューラル・ネットワーク(CNN)」である。ウォータールー大学のアレクサンダー・ウォン教授と助手のリンダ・ワン博士、カナダのAI企業ダーウィンAI(DarwinAI)らによって開発された。COVIDネットは、細菌感染症、新型コロナウイルス以外のウイルスによる感染症、新型コロナウイルス感染症など、さまざまな肺疾患を抱える患者2839人の胸部X線画像5941枚を使い、胸部X線画像から新型コロナウイルスの兆候を検出するよう訓練された。ツールとともにデータセットが提供されているため、研究者らがツールを検証したり、調整したりできるようになっている。
ここ数週間で複数の研究チームが、X線画像から新型コロナウイルスを診断できるAIツールを発表している。だが、完全に一般公開されたものはなく、その正確性を評価するのは難しい。ダーウィンAIはそうしたツールとは異なるアプローチを取っている。COVIDネットは「決して製品レベルのソリューションではない」としており、研究者らに改善のための協力を呼びかけている。同社はまた、診断理由を説明できるようにして医療従事者がツールを利用しやすくしたい考えだ。
COVIDネットの能力はまだ証明されていないが、過去の成功体験と同じ道をたどっている。過去10年間のコンピューター・ビジョン分野の大きな進歩には、何百万枚もの画像を含む大規模なデータセットであるイメージネット(ImageNet)と、それを使って訓練された畳み込みニューラル・ネットワークのアレックスネット(AlexNet)の一般公開が大きく貢献している。これらの公開以来、イメージネットとアレックスネットはAI研究に活用されてきた。
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- ウィル・ダグラス・ヘブン [Will Douglas Heaven]米国版 AI担当上級編集者
- AI担当上級編集者として、新研究や新トレンド、その背後にいる人々を取材。前職では、テクノロジーと政治に関するBBCのWebサイト「フューチャー・ナウ(Future Now)」の創刊編集長、ニュー・サイエンティスト(New Scientist)誌のテクノロジー統括編集長を務めた。インペリアル・カレッジ・ロンドンでコンピューターサイエンスの博士号を取得しており、ロボット制御についての知識を持つ。