KADOKAWA Technology Review
×
Innovators Under 35 Japan 2026 候補者募集開始!
スペースXの有人宇宙船、「民間初」の打ち上げに成功
SpaceX / NASA
NASA astronauts fly SpaceX's Crew Dragon into orbit for the first time

スペースXの有人宇宙船、「民間初」の打ち上げに成功

NASAの宇宙飛行士が9年ぶりに米国本土から宇宙に飛び立った。民間の宇宙船による有人輸送は史上初の快挙だ。 by Neel V. Patel2020.06.01

米国航空宇宙局(NASA)の宇宙飛行士2人を乗せたスペースXの新型宇宙船「クルー・ドラゴン(Crew Dragon)」が打ち上げに成功し、国際宇宙ステーション(ISS)に向かっている。スペースXが有人宇宙船を打ち上げたのは今回が初めて。米国人宇宙飛行士が米国本土から宇宙へ飛び立ったのは、実に9年ぶりだ。

クルー・ドラゴンを搭載したスペースXのロケット「ファルコン9(Falcon 9)」は、米国東部標準時間5月30日午後3時22分(日本時間5月31日午前4時22分)にケネディ宇宙センターから打ち上げられた。ファルコン9はクルー・ドラゴンを無事、軌道に乗せた後、地球に帰還し、大西洋上で待つスペースXのドローン船に着艦した。クルー・ドラゴンにはNASAの宇宙飛行士ボブ・ベーンケンとダグ・ハーリーが搭乗しており、31日午前10時27分ごろにISSへドッキングする予定だ(日本版注:ドッキングは31日午後11時16分に成功した)。

https://twitter.com/JimBridenstine/status/1266816726857060354?s=20

「デモ2(Demo-2)」と呼ばれるこのミッションは当初5月27日の打ち上げを予定していたものの、悪天候のためやむなく延期された。30日は運よく風も弱く、晴天に恵まれた。

デモ2はクルー・ドラゴンの初の有人飛行試験で、打ち上げとISSへのドッキングに成功すれば、今後のNASAの定期的な宇宙飛行士ミッションで使われることになる。

スペースシャトル計画が2011年に終了して以来、NASAは宇宙飛行士をISSに送るためにロシアに数十億ドルの費用を支払ってきた。クルー・ドラゴンが認定されれば、NASAは米国製の宇宙船を使用できるようになり、有人宇宙飛行のニーズに対応するためにロシアに縛られることもなくなる。

スペースXが人間を宇宙に送るのは、創業以来18年間で初となる。同社はコスト削減のために再利用可能なアーキテクチャを追求しており、有人ミッション用の再利用可能な宇宙船を搭載した再利用可能なロケットを使うことで、宇宙飛行士や民間人を低コストで宇宙に送れる可能性が広がった。

さらに、デモ2は民間企業が地球低軌道への有人打ち上げに成功した初のミッションでもある。NASAのジム・ブライデンスタイン長官は過去に、NASAは地球低軌道の商業化を目指しており、低軌道の運用を民間に譲渡することがこれらの計画のメインだと繰り返し述べている。低軌道への有人輸送に興味がある顧客は、スペースXを新たな輸送手段の選択肢に入れられるようになる。

ベンケン飛行士とハーリー飛行士が宇宙ステーションに滞在するのは30日から119日間になる見込みだ。NASAは今後正確な期間を決定する。ミッションの最後に、2人はクルー・ドラゴンを地球に帰還させる。一方、スペースXはクルー・ドラゴンの運用1号機となる「クルー1(Crew-1)」をデモ2の後続機とする予定だ。クルー1のミッションは8月下旬に予定されており、NASAの宇宙飛行士3名と日本人宇宙飛行士1名(野口聡一飛行士)を乗せてISSに向かう。

人気の記事ランキング
  1. It’s time to address the looming crisis in entry-level work. 「コーディングを学べ」もう通用せず、AIが若者の雇用を奪い始めた
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2026 「Innovators Under 35 Japan」2026年度候補者募集のお知らせ
  3. Anthropic’s Code with Claude showed off coding’s future—whether you like it or not 「Claudeに任せてしまおう」 たった1年で激変したソフトウェア開発
ニール・V・パテル [Neel V. Patel]米国版 宇宙担当記者
MITテクノロジーレビューの宇宙担当記者。地球外で起こっているすべてのことを扱うニュースレター「ジ・エアロック(The Airlock)」の執筆も担当している。MITテクノロジーレビュー入社前は、フリーランスの科学技術ジャーナリストとして、ポピュラー・サイエンス(Popular Science)、デイリー・ビースト(The Daily Beast)、スレート(Slate)、ワイアード(Wired)、ヴァージ(the Verge)などに寄稿。独立前は、インバース(Inverse)の准編集者として、宇宙報道の強化をリードした。
▼Promotion
社会実装都市「ひろしま」の魅力に迫る ローカル ✕ イノベーション
MITテクノロジーレビューが選んだ、AIの10大潮流 [2026年版]

AIをめぐる喧騒の中で、本当に目を向けるべきものは何か。この問いに対する答えとして、MITテクノロジーレビューはAIの重要なアイデア、潮流、新たな進展を整理したリストを発表する。

特集ページへ
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る