KADOKAWA Technology Review
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The Internet Is Sick

インターネットの黄金時代をどう次世代に残せばいいのか?

Firefoxブラウザーの開発を支援する非営利団体「モジラ財団」は、インターネットが自由でオープンでなくなることを懸念し、状況を見守るための指標を提供する計画だ。 by Tom Simonite2017.01.20

ティム・バーナーズ=リーが1991年に最初のWebページを公開して以来、30億人以上がネットに接続した。ビジネスや友人との付き合い方が変わり、多くの成功者が生まれた。しかし、非営利団体であるモジラ財団(フリーなWebブラウザー「Firefox」の開発元)は、インターネットの全てが順調ではないという。

モジラ財団は、地球規模のネットワークに関する最新のレポート「健康診断書」で、グーグルなどの企業による独占、2016年に各国政府が56回もインターネット接続を遮断したことを例に、インターネットを普及させた開放性と中立性が失われている、と主張した。

モジラ財団のマーク・サーマン常任理事は「起業家精神や民主的活動を育んだ『インターネット』なるものが、まったく逆の何かになる恐れがあるのです」という。

モジラ財団の診断書は、実際に、いまや人類の半数近くがインターネットに接続しているといった、インターネットのよい面についても述べている。サーマン常任理事は、インターネットが、他の危機に瀕した共有資産と同じように社会全体が考えるようにさせたいのだ。「環境と同様、インターネットも私たち全員が生きる場であり、私たちを取り巻いており、私たちの拠り所なのです」

モジラ財団の診断内容は、人々や企業、政府がインターネット上でしていることに関する既存のデータソースから導き出された。モジラ財団は更新版を毎年発表する計画で、インターネットの「バイタルサイン」となる新しいデータを生成する研究も始めようとしている。

サーマン常任理事が欲しいデータのひとつは、非常に多くのWebサイトやオンラインサービスを支えているネット広告によって、もっとも恩恵を得ているのは誰なのかのデータだ。「広告は、インターネット上で誰でも情報発信できるようにしたり、多様性をもたらしたりしているでしょうか。それとも、すでに確立された大企業等に恩恵を与えているのでしょうか?」

さらにサーマン常任理事は、各国のISPの契約者が、それぞれの国内や世界中から、支払った料金の対価として何を得ているのかを比較できるデータも得たいという。

反検閲ブログネットワーク「グローバル・ボイシズ(Global Voices)」のアドボカシー・ディレクター(組織の主張を代弁する役職)でもある、ハーバード大学バークマン・センターのエラリー・ビドル研究員は、モジラ財団による「健康診断書」は、個別の権利擁護団体によって着目されることの多い、さまざまな問題を統合し、広い視野で全体像を組み立てようとする、素晴らしい試みだ、という。

ただし、ビドル研究員は、モジラ財団の分析は、現在のインターネットを、Webの草分け時代にあった電子の理想世界と比較するという、よくあるワナにはまってしまいやすい、という。

たとえば、サーマン常任理事は現在の携帯アプリ・ストアや巨大なソーシャル・ネットワークを、Webが最初に始まった時には可能だった自由競争を妨げている門番として描く。ビドル研究員にいわせれば、門番が、インターネットに接続している何百万人ものユーザーに、使いやすく、安全に交流・探索できる空間を提供しているのだ。「フェイスブックなど、壁で囲まれた庭に関する懸念の多くに私も同意します。ただ、これはもっと込み入った話なのです」

サーマン常任理事は、ネットがもっとシンプルだった時代を基準とする考えを擁護しているが、あの時代を再現するつもりはないという。「あれは黄金時代でしたが、あそこには戻れません。ただし、私たちは前進しつつ、可能性と人間のつながりを提供し続ける存在として、インターネットを存続させなければいけません。それが、インターネットをまず何よりも素晴らしいものにしてくれたことです」

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MIT Technology Reviewのサンフランシスコ支局長。アルゴリズムやインターネット、人間とコンピューターのインタラクションまで、ポテトチップスを頬ばりながら楽しんでいます。主に取材するのはシリコンバレー発の新しい考え方で、巨大なテック企業でもスタートアップでも大学の研究でも、どこで生まれたかは関係ありません。イギリスの小さな古い町生まれで、ケンブリッジ大学を卒業後、インペリアルカレッジロンドンを経て、ニュー・サイエンティスト誌でテクノロジーニュースの執筆と編集に5年間関わたった後、アメリカの西海岸にたどり着きました。
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