トランプ大統領が呼びかける選挙監視「軍団」は何が問題か?
トランプ大統領は大統領選挙を前に、同選挙を監視する「軍団」を作るよう支持者たちに呼びかけている。しかし、同大統領の呼びかけは、有権者に対して暴力の脅威をちらつかせる脅迫であり、私兵団による投票所や有権者登録所付近での活動は違法行為である。 by Patrick Howell O'Neill2020.10.18
トランプ大統領は、大統領選挙における選挙監視人の「軍団」を集めようとしている。不正選挙に関する誤情報拡散活動の一環として実施しているこの攻撃的な訴えかけは、有権者への威嚇効果、あるいはそれ以上に深刻な問題を引き起こすのではないかという懸念を生んでいる。
一方、フェイスブックは、同プラットフォーム上で選挙監視について語る際に「軍事的な」用語を使うことを禁ずる新たなルールを導入したと発表した。ドナルド・トランプ・ジュニアが投稿した「選挙セキュリティ活動」を求める映像について、フェイスブックでコンテンツポリシー部門を担当するモニカ・ビッカート副社長は報道陣に対し、「新たなポリシーの下で再びあの映像が投稿された場合、確実に削除します」と述べた(元の映像は現在も削除されずにオンライン上に残っている)。
しかし選挙監視は、両党および外部団体が投票を監視するために実施する正当な活動である。そしてすべての州で、選挙監視人に何ができて、何ができないのかを示す明確な規則が定められている。
選挙監視人とは?
選挙監視人の仕事は、すべての候補者が選挙で勝つための公平なチャンスを得られるようにすることだ。大半の州では、選挙監視人は任命、承認、訓練を受け、明確化された規則に従わなければならない。通常、地域ごとの選挙規則に関する不正や違反行為がないか監視するのが役目だが、問題を発見しても有権者に直接介入することは認められておらず、正式な選挙関係者の協力を仰がなければならない。
トランプ大統領は選挙監視人に何を求めているのか?
トランプは、民主党が不正投票によって勝利を盗み取ろうとしていると主張しているが、これに関して信頼できる証拠による裏付けは取れていない。先に実施された1回目の大統領候補者討論会でトランプ大統領は、相手の話を遮り、侮蔑的な言葉を投げかける中で、投票所における介入について繰り返し語り、「私の支持者たちには投票に行き、注意深く監視することを要請している。そうする必要があるからだ」と述べた。
トランプ陣営が配布している指示映像は、一部の事例において有権者や投票用紙の適格性について異議申し立てすることを支持者たちに期待するという内容になっている。しかし、そうだとしても、共和党の選挙監視人が有権者に直接話しかけることは許されない。そのようなケースでは、有権者は仮投票という形で投票をして、身元が確認された段階で正式な票として認められるという形を取るべきだ。同様の規則は民主党の選挙監視人にも適用される。
どういった問題が起こりうるのか?
「このような集団の行動は、2通りの形で影響を及ぼす可能性があります」とマサチューセッツ工科大学(MIT)選挙ラボのチャールズ・スチュワート特別教授は話す。「ひとつは実際にその場に現れることによって影響を及ぼし、もうひとつは、有権者が彼らの存在を恐れることによっ …
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