KADOKAWA Technology Review
×
温暖化対策、前例なき変革が必要=IEAが年次報告書で指摘
Photo by Ryan Searle on Unsplash
Our midcentury climate goals require radical change today

温暖化対策、前例なき変革が必要=IEAが年次報告書で指摘

国際エネルギー機関(IEA)が10月に発表した年次報告書によると、2050年までに温室効果ガス排出量「実質ゼロ」を達成するためには、エネルギー部門のあらゆる部分で前例なき変革が必要になることが明らかになった。 by James Temple2020.10.15

地球温暖化を1.5℃未満に抑えるためには、今世紀半ば頃までに温室効果ガス排出量を効果的に削減する必要があることが明らかになった。

気候変動に対する取り組みはすでに数十年遅れている状態だが、目標達成の可能性は残っているのだろうか?

国際エネルギー機関(IEA:International Energy Agency)は、10月13日に発表した年次報告書で、2050年までに世界が温室効果ガス排出量の「ネットゼロ(実質ゼロ)」を達成するために何が必要かを詳しく調査した(ネットゼロとは、その時点で残っている排出量を植樹などの二酸化炭素除去活動などで相殺し、実質的にゼロの状態にすることを意味する)。IEAによると、目標達成には「エネルギー部門のあらゆる部分で前例なき変革」が必要だと指摘している。

このような抜本的見直しはすぐに開始する必要があるだろう。今後10年という短期間に、世界は以下のことを実行する必要がある。

  • 世界の二酸化炭素排出量を2010年比で45%削減する。
  • 世界の発電量に占める風力、太陽光、地熱などの再生可能エネルギーの割合を27%から60%に増加させる。
  • 太陽光発電の年間導入量を約5倍にする。
  • 石炭需要を60%削減する。
  • 販売されるすべてのエアコンの半分を最も効率の良いモデルとする。
  • 「一次エネルギー」(自然界に存在するままの形でエネルギー源として利用されているもの)の需要を 17%削減する。

 

IEAのネットゼロ・シナリオには個人の行動を大きく変えることも含まれている。例えば、1時間以内のフライトをすべて低排出の代替手段(水素を動力源とする列車やバスなど)に置き換えたり、3キロメートル未満の移動には徒歩や自転車を利用したりすることなどだ。

多くの科学者は、産業革命以降の気温上昇を1.5℃未満に抑えるという目標は、すでに達成不可能な状態まで来ていると考えている。

気温上昇を2℃程度に抑えるために必要なマイルストーンである「2070年までに温室効果ガス排出量ネットゼロ」という目標でさえ、達成には劇的な変革とはるかに積極的な気候政策が必要になるだろうとIEAは指摘する。今後10年間で、石炭の需要を40%近く削減し、太陽光発電容量を3倍以上に増やし、クリーンカーの販売を全新車販売台数の40%超まで増やす必要がある。

人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
ジェームス・テンプル [James Temple]米国版 エネルギー担当上級編集者
MITテクノロジーレビュー[米国版]のエネルギー担当上級編集者です。特に再生可能エネルギーと気候変動に対処するテクノロジーの取材に取り組んでいます。前職ではバージ(The Verge)の上級ディレクターを務めており、それ以前はリコード(Recode)の編集長代理、サンフランシスコ・クロニクル紙のコラムニストでした。エネルギーや気候変動の記事を書いていないときは、よく犬の散歩かカリフォルニアの景色をビデオ撮影しています。
Innovators Under 35 Japan 2020

MITテクノロジーレビューが主催するグローバル・アワード「Innovators Under 35」が2020年、日本に上陸する。特定の分野や業界だけでなく、世界全体にとって重要かつ独創的なイノベーターを発信していく取り組みを紹介しよう。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Singapore’s police now have access to contact tracing data シンガポールの接触追跡アプリが方針転換、犯罪捜査でも利用可に
  2. The winners of Innovators under 35 Japan 2020 have been announced MITTRが選ぶ、日本発の35歳未満のイノベーターを発表
  3. Don’t panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies 新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
  4. Don’t worry, the earth is doomed 人類を滅亡に導く、15の破壊的リスク
  5. The kitchen of the future is here, it’s just not evenly distributed 電子レンジ、真空調理器超える「キッチン・テクノロジー」の未来
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.2/Winter 2020SDGs Issue

今、世界中の企業や機関の技術者・研究者たちが各地で抱える社会課題を解決し、持続可能な世界の実現へ向けて取り組んでいる「SDGs(持続可能な開発目標)」。
気候変動や貧困といった地球規模の課題の解決策としての先端テクノロジーに焦点を当て、解決に挑む人々の活動や、日本企業がSDGsを経営にどう取り入れ、取り組むべきか、日本が国際社会から期待される役割について、専門家の提言を紹介します。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る