KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中
2020大統領選で30億通もの大量SMSが飛び交う理由
Ms Tech | Pixabay
倫理/政策 無料会員限定
Why political campaigns are sending 3 billion texts in this election

2020大統領選で30億通もの大量SMSが飛び交う理由

2020年の大統領選では、携帯電話の電話番号でやりとりできる「テキスト・メッセージ(SMS)」が、かつてないほど大量に送信されている。内容をパーソナライズ化することで規制を回避し、「親密感」を演出できるからだ。 by Tate Ryan-Mosley2020.11.02

オクラホマ州選挙管理委員会は10月20日に、投票所に変更があったとする偽のテキスト・メッセージ(SMS)に関する警告を発した。送信元の電話番号は、男性向けエスコートサービスのものだった。

これは目新しい話ではない。2018年、中間選挙の2週間前には、ミシガン州モンロー郡が偽の情報が記載されたテキスト・メッセージに関して警告を発している。このテキスト・メッセージは、多くの有権者の不在者投票が「未処理」であるという内容だった。中には「トランプ大統領」が差出人となって共和党の公式Webサイトに見せかけたサイトへのリンクをクリックするよう仕向けるものもあった。2016年には、投票先を知らせるように要求するテキスト・メッセージがソマリア人コミュニティに送られていたことをミネソタ州の有権者保護団体が報告している。

大統領選挙の投票日である11月3日までに、米国の有権者は合計で約30億通の政治的テキスト・メッセージを受け取ることになると推定されている。米国の有権者は2億3400万人強なので、大半の米国民に何通ものテキスト・メッセージが送信され、激戦州の住民や重要な有権者層はそれに輪をかけて大量のメッセージを受け取ることになる。データはあまりないが、政治的なテキスト・メッセージは前回の大統領選挙ではそれほど普及していなかった。通信および開示に関する法律の抜け穴を利用し、パーソナライズ(個別化)されたテキスト・メッセージを大量に送信できる新たなツールがこの4年間で開発されてきたのだ。

テキスト・メッセージを迷惑でまったく無意味なものだと考えることは簡単だ。だが、テキサス大学オースティン校のメディアエンゲージメント・センターが実施した新たな研究は、より闇が深く、大きな意味を持つこのトレンドの本質を明らかにした。同研究によると、ピアツーピア(P2P)のメッセージは、「政治的なメッセージの親密さと有効性をより一層高めるものであり、困ったことに、外部の人間からは事実上監査不可能」であるという性質を持っているという。

同論文は、「送られてくるメッセージは組織的でありながら親密であり、今までよりもプライベートな空間に送り届けられるようになっています」と論じている。信頼性が高く、よりプライベートで規制の少ないこのチャンネルで、非常に効果的な政治キャンペーンとデマ工作の両 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る