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米大統領選「投票日以降」の行方を占う5つの判決
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Five Supreme Court rulings that signal what to expect next

米大統領選「投票日以降」の行方を占う5つの判決

今回の大統領選挙では、郵便の遅延が起こっていることを受けて、複数の州が郵送票の集計の規定を見直している。最高裁判所がどのような判決を下すかが、選挙結果の行方を決める可能性がある。 by Patrick Howell O'Neill2020.11.04

米国の最高裁判所(連邦最高裁)では通常、かなりゆっくりと物事が進む。場合によっては、判決が出るまで何年もかかることもある。しかし、このところ、物事があまりに急ペースで進んでいることから、トランプ大統領が指名し、10月27日に承認されたエイミー・コニー・バレット最高裁判事は、承認後の最初の2つの裁判には参加する時間もなかった。いずれも、投票に関連した極めて重要な判決だった。この猛烈なペースから明らかなのは、連邦最高裁がすでに2020年の大統領選挙を方向づけているということだ。さらには、投票日である11月3日の後でさえ、その傾向が一層強まるかもしれない。

たった2週間で、連邦最高裁は投票に関する裁判で5つの判決を下した。いずれも、ある重要な疑問に焦点が当てられていた。つまり、票の数え方は正確には誰が決めるのか、ということだ。

10月30日の午後、ドナルド・トランプ大統領は、連邦最高裁の最新の決定についてツイートした。ノースカロライナ州で、郵便サービスの遅延が原因で投票日に間に合わない郵送票を集計に含めるために、集計作業が延長されることについてだ。判事は、延長を阻止しようとする共和党の試みを退け、同州では選挙日までに発送されたものであれば11月12日まで郵送票を集計に含められるとした。この集計作業の延長は、前例のない郵便配達の遅れの解決策を意図したものである。

「決定は『狂っている』。我が国にとって最悪です」とトランプ大統領はツイートした。「その9日間に何が起こるか分かったものではありません。大統領選挙は11月3日に『終了』するべきです」。

トランプ大統領のツイートは、これまで1年を通して述べてきた自身の政治的・法的な主張の核心に触れている。しかし、トランプ大統領の主張には問題がある。その主張は、米国の歴史上のすべての選挙に反しており、法的な根拠がなく、彼が実施してきた選挙の安全性についての政治的なデマキャンペーンの一部なのだ。このキャンペーンは、選挙の安全性に関わる連邦政府当局者自身によってしばしば否定されている。

「想像」することは何ら悪いことではない。大統領選挙日後の票の集計は、文字通りすべての選挙で実施されている。すべての票が選挙日の夜に集計されたことは、これまでに一度もない。一般的に言って、当日 …

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