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新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由
Ian Forsyth/Getty Images
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Don't panic about the latest coronavirus mutations, say drug companies

新型コロナ「変異種」を過度に恐れる必要がないこれだけの理由

12月に新型コロナウイルスの新たな変異種が英国で検出されたのを受けて、世界中の国々が英国からの渡航者の入国を制限するなど警戒を高めている。今回の変異種は感染力がより高いという報告があるが、製薬会社は、すでに開発されたワクチンや抗体薬で十分な効果が望めるとしている。 by Antonio Regalado2020.12.28

12月に入ってから、英国で新型コロナウイルス(SARS CoV-2)の変異種が検出された。欧州全体が警戒を強め、英国からの渡航者の入国を禁止する国も出ている。

しかし、この新たな変異種がはるかに強い感染力を持つかどうかは、一部の科学者が警告しているようにまだ明らかではない。さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する認可を受けたワクチンまたは治療薬を提供するモデルナ(Moderna)、ファイザー/バイオンテック(BioNTech)、リジェネロン(Regene)、イーライリリーの各社は、提供する治療法が新たなタイプの新型コロナウイルスに対して有効なことを示す試験を実施中か、データがすでにあると発表した。

最終的には改良が必要になるかもしれないが、最新のワクチン開発テクノロジーは、進化し続けるウイルスに迅速に対応するのにとりわけ適している。

変異種で人々の不安をあおっている

新型コロナウイルスの新たな変異種は英国の研究所で発見され、ロンドンとイングランド南東部での感染者クラスターの急増に関連付けられた。英国政府の科学顧問らは、これまでの新型コロナウイルスに比べて、感染力が最大70%強い可能性があると推測している。米国疾病予防管理センター(CDC)は12月22日、この新たな変異種は米国では検出されていないと発表したが、単なる時間の問題かもしれない。

新型コロナウイルスはこれまで何千もの突然変異を蓄積してきた。一部の科学者は、英国の最新の変異種に対する懸念はおそらく誇張されており、英国の科学者による積極的な遺伝子シーケンシングと政治家の過剰反応が不要なパニックを引き起こしたと考えている。

「この新たな変異種について心配する必要はありません。また、英国やその他の国からの渡航者の入国を禁止すべきではありません」。デコード・ジェネティクス(DeCode genetics)の最高経営責任者(CEO)であるカリ・ステファンソンはRÚV(アイスランド国営放送)ニュース局に語った。デコード・ジェネティクスはアイスランドで新型コロナウイルスの検査と遺伝子研究の先頭に立ってきた。ステファンソンCEOは最新の変異種について、「何ら劇的なものではなく」、予防策と社会的距離を維持するために不安があおられていると考えている。

ポッドキャスト「今週のウイルス学(This Week in Virology)」のホスト役の1人であるウイルス学者のアラン・ダブ博士は、12月20日に放送されたエピソードの中で「この変異種が感染力を高める可能性があるでしょうか? 感染が拡大するでしょうか? もちろん、何でも起こる可能性があります」と語った。ダブ博士は、英国の変異種がたまたま特定の地域で優位に立ったと考える方が納得がいくと述べている。

「誰から誰に感染し、特定のどのウイルスの感染が最も広まったのかという問題です。それは運次第です。そのウイルスの感染力が強いという意味ではありません」。

ウイルスはどのように進化するのか

英国で検出された変異種の感染力が強いか否か、または新たな生物学的効果があるか否かは、近いうちに証明されると予想されている。

12月22日にインペリアル・カレッジ・ロンドンのラヴィンドラ・K・グプタ教授が率いる研究グループが、最近の変異種の1つでは、少なくとも実験室で実施された試験によると、新型コロナウイルスの感染力が高まっていると報告した。そして、ワクチンや医薬品のターゲットである新型コロナウイルスの特徴的なスパイクタンパク質の遺伝子に突然変異が蓄積しているという事実から、変異種がこれらの治療法に耐性を持つようになる「現実的な可能性」が生じているとグプタ教授ら …

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MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.3/Spring 2021
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