人工臓器作製を目指すNASA、3Dプリントの肝臓組織をISSで実験へ
人間の臓器組織作製を競うコンペ「血管組織チャレンジ」の優勝チームをNASAが発表した。人工臓器は、移植臓器を必要とする人々のためのためだけでなく、将来、深宇宙ミッションに挑む宇宙飛行士にも役立つ可能性がある。 by Tatyana Woodall2021.06.21
米国では、1日に少なくとも17人が、臓器移植を待ちながら亡くなっている。しかし、ドナー(臓器提供者)が現れるのを待つ代わりに、いつの日か、自分自身の臓器を作れるようになるとしたらどうだろうか。
米国航空宇宙局(NASA)は、「血管組織チャレンジ(Vascular Tissue Challenge)」の開催を表明してから6年が経過した2021年6月10日、勝者2チームを発表した。血管組織チャレンジは、いつの日か人工臓器につながる可能性のある研究を加速することを目的としたコンペだ。このチャレンジでは、各チームは、30日間生存できる、血管を含んだ厚みのある人間の臓器組織を作成することが求められた。
勝者2チーム、ウィンストン(Winston)とダブリューファーム(WFIRM)は、いずれもウェイクフォレスト大学再生医療研究所(Wake Forest Institute for Regenerative Medicine)所属だ。2チームは、それぞれ異なる3Dバイオプリンティングの手法を用いて、NASAのすべての要件を満たし、機能を維持できる研究室育ちの肝臓組織を作成した。
「私たちは2つの異なるアプローチを取りました。肝臓の組織と血管分布に注目すると大きく2つの機能が分かっているからです」と、WFIRMのチームリーダーであり、研究所の所長でもあるアンソニー・アタラ教授は言う。
2つのアプローチは、血管新生(体内で血管がどのように形成されるか)を達成する方法が異なっている。一方は管状構造を利用し、他方は海綿状組織の構造を利用して、栄養素を細胞に送達し、老廃物を取り除いた。アタラ所長によると、このチャレンジは、生物工学の試金石になるという。体内で最大の内臓である肝臓は、非常に多くの機能を果たしているため、複製するのに最も手間のかかる組織の1つであるからだ。
「6年前にこのコンペが開催されたとき、私たちは、それまでずっとこの問題を自 …
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