KADOKAWA Technology Review
×
締切 迫る!【1/31まで】ひと月あたり1000円。
お得に購読できるキャンペーン実施中!
欧州でCO2直接回収プラント計画が始動、「100ドルの壁」破れるか
Courtesy: Carbon Engineering
持続可能エネルギー 無料会員限定
What it will take to achieve affordable carbon removal

欧州でCO2直接回収プラント計画が始動、「100ドルの壁」破れるか

欧州で最大規模となる二酸化炭素直接大気回収プラントの建設計画が英国で進行している。しかし、直接大気回収がビジネスとして成立するためには1トン当たり100ドルの壁を突破しなければならず、さらに多くのプラントを建設する必要がある。 by James Temple2021.06.29

カーボン・エンジニアリング(Carbon Engineering)とストアガ・ジオテクノロジーズ(Storegga Geotechnologies)は、大気から二酸化炭素を直接回収するDAC(Direct-Air-Capture)プラントの設計を開始した。欧州最大規模になる見込みで、年間100万トンの二酸化炭素を回収し、北海の海底下深くに埋める能力を持つ。

隔離された気候汚染源(二酸化炭素)は、炭素クレジットとして販売されることになる。世界中の国や企業が一体となってカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)計画を策定する中、炭素除去の需要が高まっていることを反映してのことだ。カーボンニュートラルには、直接的または間接的に、樹木や機械、その他の手段を最大限に利用して二酸化炭素(CO2)を空気中から除去する取り組みが含まれる。

気候研究者は、今世紀半ばまでに、手頃な価格では除去できない「残留排出物」(航空業や農業などから出るような二酸化炭素)に対処し、極めて危険なレベルの温暖化から気候を引き戻すためには、世界全体で毎年数十億トンの二酸化炭素除去が必要になる可能性を指摘している。

だが、そこで重要になるのは、直接大気回収にはどれくらいのコストがかかるのか、そのコストを企業や国が賄う余裕があると判断するかどうか、というまだ答えの出ていない質問だ。

カーボン・エンジニアリングとストアガ・ジオテクノロジーズの2社が提案する施設は、スコットランド北東部に建設される見通しだ。豊富な再生可能エネルギーを利用し、回収した二酸化炭素を沖合いにある近くの専用地に注入する。施設は2026年までに稼働を開始する予定だ。

「排出物の『発生源』のすべてを止めることはできません」と、カナダのブリティッシュコロンビアを拠点とするカーボン・エンジニアリングのスティーブ・オールダムCEO(最高経営責任者)は述べる。「あまりに難しく、お金がかかり、混乱をもたらします。そこで登場するのが炭素除去です。炭素除去が絶対不可欠になるという認識は高まっています」。

1トンあたり100ドルを実現できるか

オールダムCEOは、炭素除去の料金をいくらに設定するかは明言していない。建設予定のプラントで1トンあたりいくらのコストを実現できるかはまだわからないという。

しかし、オールダムCEOは、ジュール(Joule)誌の2018年の分析で割り出された直接大気回収の目標コストのレベルを最終的に達成できると確信している。同分析は、カーボン・エンジニアリングの創業者であるハーバード大学のデヴィッド・キース教授が主導して実施したものだ。その中で、直接大気回収テクノロジーが商業規模に達すれば、回収に要するコストは1トンあたり94ドルから232ドルの範囲になると見積もっている。

アリゾナ州立大学のネガティブ・カーボン・エミッション・センター(Center fo …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
購読キャンペーン実施中
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
購読キャンペーン実施中
日本発「世界を変える」35歳未満のイノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

記事一覧を見る
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.5
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.5Cities Issue

新型コロナのパンデミックによって激変した都市生活は、ポストコロナでどう変わるのか? 都市部への人口集中が世界で加速する中、環境、災害、貧困といった負の側面をテクノロジーは解決できるのか? 多様な人々が集まり、化学反応が起きるイノベーションの集積地としての役割を都市は今後も果たし続けるのか? 世界の豊富な事例と識者への取材を通して、新しい都市の未来像を描く。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る