「中絶禁止」テキサス州、市民団体らがネットで支援
米国テキサス州で、人工妊娠中絶を実質的に禁止する法律が施行された。州内での安全な処置を受けられなくなった女性らを救うために、市民団体がネット上での支援に乗り出している。 by Tanya Basu2021.09.27
KT・ボルコバは8月末、居住するテキサス州中央部で人工妊娠中絶を受けた。ボルコバは妊娠6週目に入っていた。
「時間との闘いでした」。ボルコバは言う。その数日後の9月1日には、テキサス州で新しい州法「SB8(いわゆる中絶禁止法)」が施行された。SB8は、胎児の心拍が確認された時点(通常は前回の月経からおよそ6週間後)での人工中絶を違法とするもので、これによってテキサス州では実質的に中絶が禁止されることになった。月経周期は一定でない場合もあり、6週目時点で妊娠しているかどうか分からないことも多いためだ。また、SB8では、テキサス州内での妊娠6週目以降の中絶を支援した協力者を市民らが訴えることができ、勝訴すれば1万ドルが得られる「報奨金」もある。
州内で安全な中絶処置を受けられず、窮地に陥っている人が大勢いることを考えれば、ボルコバは幸運だった。そうした中、市民活動家らは反撃に出ている。テキサス州外での中絶資金を集めるための募金活動を始め、協力者を密告する報奨金サイトに偽の通報メールを送りつけている。
すぐに中絶が必要なテキサス州在住の妊娠者に対して、支援に乗り出した非営利団体もある。ネット上での妊娠中絶薬の入手を支援する「エイド・アクセス(Aid Access)」は、法案が議会で可決されて以降、相談件数が急激に増えたという。具体的には、妊娠の維持に必要なホルモンであるプロゲステロンを阻害するミフェプリストンと、流産を誘発するミソプロストールだ。
エイド・アクセスでボランティアとして働く、クリスティー・ピトニー助産師は、「9月1日以降、明らかにテキサス州での需要が増えました」と話す。将来必要な場合に備えて、中絶薬を買いだめしている人もいる。エイド・アクセスは現在、同州での需要に応えるために、対応するボランティアの増員を計画中だという。
エイド・アクセスを利用するには、インターネット接続があればいい。利用者はインターネット上で、前回の月経が始まった日など、HIPAA法(医療保険の携行性と責任に関する法律)に準じた質問に回答する。回答に問題がなければ、医師が承認し(15州を担当する7人の米国人医師がいる)、薬は2、3日で届く。エイド・アクセスの担当医師がいないテキサス州のような地域では、同団体のレベッカ・ゴンパーツ創設者らが、拠点としている欧州から薬を処方する。ピトニー助産師によると、その …
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