メルクの新型コロナ飲み薬、米FDA諮問委員会が承認勧告
メルクが開発した新型コロナウイルス感染症の飲み薬であるモルヌピラビルについて、米国食品医薬局(FDA)の諮問委員会は承認を勧告した。数週間後にはファイザーが開発した新薬も評価される見込みだ。 by Charlotte Jee2021.12.06
米国食品医薬局(FDA)の諮問委員会は、製薬大手メルク(Merck)が開発した重症化リスクの高い新型コロナウイルス感染症患者向け抗ウイルス薬について、13対10で承認を勧告すると決定した。メルクの抗ウイルス薬「モルヌピラビル(Molnupiravir)」は、当初考えられていたよりも低いものの、入院や死亡のリスクを低減する効果が示されている。10月に発表された最初の結果では、重症化リスクの高いワクチン未接種755人の被験者に投与し、入院や死亡のリスクが50パーセント低減することが分かった。先週、1433人の患者を対象とした最新データを解析した結果、その低減率は30パーセントに低下した。委員会メンバーの1人であるディヴィッド・ハーディは、「この製品の有効性は圧倒的とは言えない」と述べている。
賛否が拮抗したのは、薬の有効性データの変化だけでなく、安全性についても懸念があったためだ。専門家委員会のメンバーの1人であるメハリー医科大学の最高経営責任者(CEO)ジェイムズ・ヒルドレスは、モルヌピラビルを使用することで、理論上、新たな新型コロナウイルス変異株が発生する可能性があることを懸念し、「反対」に投票したと説明した。しかし他のメンバーは、全体的なリスクは「賛成」に投票できるほど十分に小さいと主張した。
承認された場合、この薬は重症化リスクが高い人に処方され、1日2回、5日間自宅で服用することになる。高齢または基礎疾患のある数千万人の米国人が対象となり、発症後5日以内に服用を開始する必要がある。諮問委員会は、潜在的な副作用への懸念からm妊婦へのモルヌピラビルの使用を厳しく制限することを推奨した。
今後数週間のうちに、FDAはファイザーが開発した同様の薬を評価する予定だ。ファイザーの薬はメルクの薬よりもはるかに効果が高く、同じ患者グループ内で入院または死亡のリスクを89パーセント低減できる。これらの新薬は保存が簡単で自宅で服用できるため、新型コロナウイルス感染症に対する有望な新兵器になると期待されている。米政府は、すでに数十億ドルを投じて両新薬の大量供給を確保している。
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- シャーロット・ジー [Charlotte Jee]米国版 ニュース担当記者
- 米国版ニュースレター「ザ・ダウンロード(The Download)」を担当。政治、行政、テクノロジー分野での記者経験、テックワールド(Techworld)の編集者を経て、MITテクノロジーレビューへ。 記者活動以外に、テック系イベントにおける多様性を支援するベンチャー企業「ジェネオ(Jeneo)」の経営、定期的な講演やBBCへの出演などの活動も行なっている。