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産総研の研究者、激減する蜂の代替を目指して受粉ドローンを開発
Watch This $100 Drone Try to Do a Bumblebee’s Job

産総研の研究者、激減する蜂の代替を目指して受粉ドローンを開発

世界中で蜂が激減しており、植物の受粉ができなくなった地域がある。そこで産総研の研究者が蜂の代替を目指して受粉ドローンを開発した。 by Antonio Regalado2017.02.10

日本から、最新の研究成果がもたらされた。つくば市にある産業技術総合研究所の研究者は、イオン液体ゲルと呼ばれる普通とは違った特性のある物質の新しい用途を探していた。このゲルはベタベタしているのだ。

研究チームは、花粉の媒介者を作ることにした。悲しい事実だが、世界各地で蜂の数が減少している。減少の原因はまだ十分に解明されていないが、ドローンが花の間を飛び回って花粉を運べないか、テクノロジストが目を付け、研究を始めている。機械製の蜂を検討するまで状況が悪化しているのだ。

産総研の研究者は、アマゾンから100ドルで購入したドローンの底面に馬の毛を貼り付け、イオン液体ゲル(湿り気があり、付箋紙のポストイットと同じくらいの粘着性がある)を塗り、ドローンが花粉の粒をくっつけて受け渡せるようにした。

 

上の映像のように、研究者はピンクと白のササユリの花の、ちょうど雄しべと雌しべの部分に向けて、正確にドローンを飛ばした。プロジェクトリーダーの都英次郎主任研究員によれば、ドローンが花の受粉を媒介したのは世界初だという。

この発明はまだマルハナバチの代替にはなれない。カリフォルニア州の「蜂ブローカー」ジョー・トレイナーによれば、カリフォルニア州内のアーモンド産業だけでも、180万個の蜂の巣箱(およそ350億匹の蜂が入っている)が必要だという。受粉対象は、約4000平方kmもの農地に広がるアーモンドの木に毎年咲く約3兆個の花だ。

「蜂の代わりになるテクノロジーがあるなんて思えませんよ」とトレイナーはいう。

自然界での受粉は桁違いに大きい。それでも、蜂は減少しており、人類には受粉を助ける代替手段が必要だ。しかも、すぐに。蜂が消滅した中国の一部地域では、すでに果樹園で労働者が木に登り、長いブラシでひとつひとつの花に触れ、手作業で受粉させている。

花にピシッと触れて飛ぶ日本製のドローンは、ブラシを持つ人間の作業効率には及ばない。理由はひとつ。ドローンはリモコンで飛ばすが、都主任研究員は「蜂の代わりにマニュアル操作のドローンを使うのは不可能です」という。派手で突き出た形の生殖器官を持つユリの花は、植物の中で、もっとも狙いやすい標的のようでも、正確に雄しべと雌しべに到達するのは難しかった、と都主任研究員はいう。

To create their artificial bee, Japanese scientists glued horsehair to the bottom of a $100 drone purchased from Amazon.com.
人工蜂の開発のため、日本の科学者はAmazon.comから購入した100ドルのドローンの底に馬の毛を貼り付けた

日本の研究チーム以外にも、人工の蜂を開発中の研究者がいる。製品開発の専門企業インテレクチュアル・ベンチャーズ(ネイサン・マイアーボールド元マイクロソフトCSOが経営している)は、飛行計画どおりにコンピューターが誘導して農場を飛び回る花粉媒介装置の特許申請を2015年に出願した。ポーランドの科学者チームは昨年、空中に浮かぶドローンの映像を公表した。このドローンは、ブラシでプラスチックの花にこちょこちょと触れることで受粉を媒介する。

都主任研究員は、屋外でドローンによる植物花粉の媒介は「完全に実現可能」と考えている。ただし、高解像度のカメラとGPS、おそらくは人工知能といった装備が加わって初めて可能になることだという。これらの機能を極小サイズの飛行ロボットに搭載するのは、難しい課題かもしれない。

蜂の数は減少している。原因はまだ十分には解明されていないが、疾病や農業用殺虫剤が影響しているようだ。今年1月、アメリカの魚類野生生物局は、マルハナバチを初めて絶滅危惧種のリストに載せた。かつては多数生息していたマルハナバチの一種ラスティーパッチド・バンブルビーが、今では「絶滅との戦い」のさなかにあるのだ。

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アントニオ・レガラード [Antonio Regalado]米国版 生物医学担当上級編集者
MITテクノロジーレビューの生物医学担当上級編集者。テクノロジーが医学と生物学の研究をどう変化させるのか、追いかけている。2011年7月にMIT テクノロジーレビューに参画する以前は、ブラジル・サンパウロを拠点に、科学やテクノロジー、ラテンアメリカ政治について、サイエンス(Science)誌などで執筆。2000年から2009年にかけては、ウォール・ストリート・ジャーナル紙で科学記者を務め、後半は海外特派員を務めた。
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