KADOKAWA Technology Review
×
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
SNS駆使するネット探偵、ウクライナで民間「オシント」が活躍
Sean Gallup/Getty Images
人間とテクノロジー 無料会員限定
The online volunteers hunting for war crimes in Ukraine

SNS駆使するネット探偵、ウクライナで民間「オシント」が活躍

戦争が始まって以来、世界中の人々が、難民やウクライナの大義を支援しようと動いている。証拠の収集は簡単な作業に思えるが、その道のりは長い。 by Tanya Basu2022.03.17

2月下旬、ロシアがウクライナに侵攻した時、エイデンは多くの人と同じように無力感を感じていた。エイデンは英国在住の23歳。ウクライナとの繋がりはなかったが、Web上に公開されているデータを集める「オシント(OSINT:オープンソース・インテリジェンス)」の能力に長けていた。

そこでエイデンは、調査団体ベリングキャット(Bellingcat)のボランティアとして参加し、ウクライナで起きている戦争犯罪の可能性がある活動を収めた画像や映像の確認作業を手伝うことにした。ベリングキャットの活動は、最終的に国際刑事裁判所(ICC)による訴追に繋がっていくことが期待されている。

「加害者の行動の責任を追求したいなら、まずその土台となる下準備をしっかりやる必要があります。私たちは今まさにその作業をしています」。エイデン(本人の希望により名字は伏せている)はこう話す。

戦争が始まって以来、世界中の人々が、難民やウクライナの大義を支援しようと動いている。過去にもベリングキャットにボランティアとして参加した経験を持つエイデンのように調査スキルを持つ者にとっての支援とは、時間と労力をかけて、ウクライナ市民がWeb上に投稿した資料1つ1つを分析することだ。彼らは民間施設や病院などの保護区域への爆撃といった戦争犯罪の可能性がある活動を記録し、その正確な場所を確認していく。

2021年1月6日に起きた米国議会での暴動と、それに続くネット上での犯人捜しで培われたスキルは、ウクライナでの戦争におけるネット上での情報収集にも活かされている。ただ、こうした取り組みが潜在的な戦争犯罪の訴追に繋がる有効な証拠になり得るのか、どのようにしたら証拠として認められるのかは不透明だ。大量に押し寄せる証拠を分類する世界共通のシステムがなければなおさらである。

人権団体は戦争犯罪の可能性を示すデータ収集のため、すでに専門の調査員をウクライナに派遣している。2月23日にキーウ(キエフ)入りしたヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)のリッチ・ウィアー研究員は、翌朝、侵攻のニュースで目を覚ました。

「キーウで同僚が合流する予定でしたが、空域が封鎖されました」。移動先のリヴィウからウィアー研究員はそう教えてくれた。「私は一人ぼっちでした」。

戦争が始まってから最初の数日間、ウィアー研究員は波乱の中で仕事をこなしていった。地元住民から空爆や攻撃について話を聞き、現場に足を運んで被害状況や民間人の死傷者を調査した。

噂やデマが飛び交う情報戦では、検証が重要な鍵となる。攻撃の映像や遺体の写真を見るだけでは不十分な上、ウクライナ国内ではインターネット回線が使用できなくなっている地域も多いため、ウィアーは現場に足を運んだり、避難当事者に話を聞いたりと、アナ …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中!年間購読料20%オフ!
人気の記事ランキング
  1. A new US phone network for Christians aims to block porn and gender-related content ポルノもLGBTも遮断、キリスト教徒向けMVNOが米国で登場
  2. Musk v. Altman week 1: Elon Musk says he was duped, warns AI could kill us all, and admits that xAI distills OpenAI’s models 「オープンAIを蒸留した」マスク対アルトマン第1週、法廷がざわめく
  3. Will fusion power get cheap? Don’t count on it. 核融合は本当に安くなるのか? 楽観論に「待った」をかける新研究
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る