ピンタレストは
画像検索でアマゾンを超える
欲しいモノ共有ネットワークとして成長したピンタレストが、買い物売り場化を目指して、身の回りの気になるアイテムをスマホで撮影すると商品を特定する新型画像検索機能を発表した by Rachel Metz2016.06.29
サンフランシスコに本社を置く新興企業ピンタレストは、ユーザーがスマホで身の回りを撮影させることで、モノを買わせようとしている。
もともとPinterestは、ソファからケーキまで、オシャレな雑貨を見つけたり、次に買いたいモノを記録しておくオンラインの「写真貼り付け板」として成長してきた。だが最近は「買い物売り場」風のバージョンアップを繰り返し、約1年前には「購入」ボタンを追加して、ユーザーがアプリやウェブサイトで眺めていただけのアイテムを実際に買えるようにした(“EmTech Digital: Pinterest’s Bid to Reinvent Online Shopping”参照)。月間1億ユーザーが使うPinterestには、現在1000万件もの購入可能な写真がある。
ピンタレストは28日、ショッピングの売上増を狙って、深層学習を応用した画像検索機能を発表。この技術が実用化されれば、たとえば目の前をさっと通り過ぎた人が着ていた格好いいTシャツや、友だちの部屋を撮影すると、Pinterest内の類似アイテムを検索できるようになる。 写真に「購入」ボタンがあれば、気になったアイテムを特定し、買えるようになるわけだ。
画像検索機能のデモを担当したドミトリ・キスリュクさん(同社ソフトウェアエンジニア)は、自分のiPhoneにインストールしたPinterestアプリで、腕時計や黒のレインブーツを撮影し、。アプリには目の前にあるモノととても似たアイテムが検索結果としていくつも並んでいた。特徴がなさそうなウサギのぬいぐるみを撮ると、アプリは検索の補助キーワードをいくつも表示し、キスリュクさんが選ぶと検索できた。
小売企業は長い間、画像認識とオンラインショッピングを結びつけようとしてきた。たとえばアマゾン・ドットコムのモバイルアプリは、写真からアマゾンの大量にある取り扱い商品を探し出せる。しかし、アマゾンが提供中の機能は、たとえばDVDやワインは探し出せても、観賞用のサボテンや植木鉢など、必ずしもすべてが同じ外見をしているとは限らない商品は検索しにくい(“AI Advances Make It Possible to Search, Shop with Images”参照)。
一方、ピンタレストが開発中の機能は、「他社よりずっと包括的なのです」と、キスリュクさんは自信満々に説明した。
ピンタレストによると、新しい画像検索機能は、数カ月以内に提供されるという。同社が画像検索機能を強化できるのは、約半年前に提供を始めた投稿画像のリアルタイム検索機能があるからだ。この機能の更新も同日発表され、検索性能の強化と月間1億3000万件の画像検索に使われていることも発表された。
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- MIT Technology Reviewのモバイル担当上級編集者。幅広い範囲のスタートアップを取材する一方、支局のあるサンフランシスコ周辺で手に入るガジェットのレビュー記事も執筆しています。テックイノベーションに強い関心があり、次に起きる大きなことは何か、いつも探しています。2012年の初めにMIT Technology Reviewに加わる前はAP通信でテクノロジー担当の記者を5年務め、アップル、アマゾン、eBayなどの企業を担当して、レビュー記事を執筆していました。また、フリーランス記者として、New York Times向けにテクノロジーや犯罪記事を書いていたこともあります。カリフォルニア州パロアルト育ちで、ヒューレット・パッカードやグーグルが日常の光景の一部になっていましたが、2003年まで、テック企業の取材はまったく興味がありませんでした。転機は、偶然にパロアルト合同学区の無線LANネットワークに重大なセキュリテイ上の問題があるネタを掴んだことで訪れました。生徒の心理状態をフルネームで記載した取り扱い注意情報を、Wi-Fi経由で誰でも読み取れたのです。MIT Technology Reviewの仕事が忙しくないときは、ベイエリアでサイクリングしています。