KADOKAWA Technology Review
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二酸化炭素でエネルギー貯蔵、伊スタートアップが実証へ
Energy Dome
This company wants to use carbon dioxide to store renewable power on the grid

二酸化炭素でエネルギー貯蔵、伊スタートアップが実証へ

イタリアのスタートアップ企業は、二酸化炭素を利用してエネルギーを貯蔵する実証プラントを立ち上げている。どこにでも設置できる安価なエネルギー貯蔵システムは、再生可能エネルギーの新しい可能性を切り開くかもしれない。 by Casey Crownhart2022.05.10

送電網向けのよりよい電力貯蔵方法は何か? その答えを模索する上で、二酸化炭素という意外な資源に着目したイタリアのスタートアップ企業がある。エナジー・ドーム(Energy Dome) というこの企業は、温室効果ガスをエネルギー貯蔵に利用するための試験設備を建設した。

再生可能エネルギーは世界的に増加しているものの、太陽光や風力は電力を安定的に供給できないため、エネルギー貯蔵ソリューションが必要とされている。現在、大規模エネルギー貯蔵の多くは、高価なリチウムイオン電池や、特定の場所でのみ導入可能な揚水発電などを利用している。どこにでも設置できる安価なエネルギー貯蔵システムは、再生可能エネルギーの新しい可能性を切り開くかもしれない。

エナジー・ドームは、二酸化炭素がその役割を担えると考えている。同社が設計し、試験を開始した実証プラントでは、民間業者から調達した二酸化炭素を使って、安全かつ安価なエネルギー貯蔵が間もなく可能になるという。

気体を圧縮してエネルギーを貯蔵することは、新しいアイデアではない。数十年前から、圧縮空気を使ったエネルギー貯蔵システムが世界各地にいくつか存在する。地下の巨大な洞窟に圧縮された空気を送り込み、それを使って天然ガス発電所で発電する方法だ。しかし、エナジー・ドームが二酸化炭素に着目したのは、その物理的な理由によるものだ。

二酸化炭素は高い圧力で圧縮すると液化するが、空気は超低温まで冷やさないと液体にはならないという物理特性に注目したのだ。液体の二酸化炭素は、再生可能エネルギーが生成・使用される場所の近くにある小さなスチール製タンクに貯蔵できる。

エナジー・ドームの設計では、液体の二酸化炭素を巨大なドームの内部にある柔軟に膨張・縮小するメンブレン(膜)が低圧で貯蔵する。(再生可能エネルギーによる)余剰電力がある場合は、気体の二酸化炭素をコンプレッサーで高圧に圧縮して液体化して貯蔵する。この過程で熱も発生するため、この熱も貯蔵する。

そして、エネルギーが必要な時には蓄えた熱で二酸化炭素を熱し、減圧してタービンを回して発電する。

エナジードームのクラウディオ・スパダチーニ最高経営責任者(CEO)によると、最初の本格的なプラントの費用は、1キロワット時(kWh)あたり200ドル弱になる見込みだ。現在のリチウムイオンのエネルギー貯蔵システムの1キロワット時あたり約300ドルと比較すると、その差は歴然としている。スパダチーニCEOは、大規模設備に拡大すれば費用はさらに下がり、1キロワット時あたり100ドル程度になる可能性があると話す。

二酸化炭素の圧縮貯蔵というコンセプトは「実に有望です」と、英国ラフバラー大学でエネルギー・システムを研究しているエドワード・バーバー講師は言う。しかし彼は、数十年にわたるプラントの寿命まで熱交換器を稼働させ続けるなど、エナジー・ドームは工学的な大きな課題に今後直面すると予想している。

エナジー・ドームが最近試験を開始した実証設備は最大4メガワット時(MWh)を出力できる容量があり、これは平均的な米国家庭の約4カ月半の電力消費量に相当する。スパダチーニCEOは実証設備の稼働後、200メガワット時という商業規模プラントへ迅速に移行し、早ければ来年にもイタリア国内でプラントの建設開始を目指していると話す。

工学的な課題は「乗り越えられないものではありませんが、取るに足らない問題というわけでもありません」とバーバー講師は言う。つまり、スパダチーニCEOが計画している規模拡大のスケジュールは、実現不可能かもしれないということだ。「問題を解決するにはもう少し時間がかかるかもしれません」と警告する。

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MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。
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