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都市の自転車問題に着目、NYのスマート駐輪場スタートアップ
Courtesy of OONEE
How bike parking pods could make US cities better for cyclists

都市の自転車問題に着目、NYのスマート駐輪場スタートアップ

都市で自転車の利用を推進する流れが広がっている。だが、安全に自転車を停められる場所を整備せずに、自転車利用を奨励するのは不用意だ。そこに目をつけたスタートアップ企業がある。 by Jake Blumgart2022.07.04

2015年のことだ。ブルックリンに住んでいたシャバズ・スチュアートは、地元の改善地区(BID:business improvement district)へ自転車で通っていた。ところがある日、自転車を盗まれてしまった。盗難に遭うのは、5年間で3回目だった。新しい自転車の購入資金が貯まるまで、公共交通機関を使うことにしたが、これがきっかけで、新しいキャリアへの道を歩むことになる。

新しい自転車を買うのに必要な数百ドルから数千ドルの出費は、裕福なニューヨーカーにとってはさほど手痛いものではないかもしれない。だが、労働者階級の自転車利用者(特に配達員)にとっては、経済的な破綻を意味する可能性もある。スチュアートは(自転車の盗難という)自身の経験が社会に与える影響の大きさに気付き、新しいビジネスのアイデアを思いついた。そして2017年、オーニー(Oonee)を起業した。目的は米国で不足している自転車インフラを支える「安全な駐輪場」を構築することだった。

スチュアートは共同創業者のJ・マニュエル・マンシルとともに、モジュール型の組み立て式駐輪場「ポッド(pods)」を開発した。ポッドは、8~80台の自転車やキックボードを駐めることができ、雨や盗難から守ってくれる。

それぞれのポッドは、キーカードやスマートフォンに対応したスマート・アクセス・システムで制御されている。また、防犯カメラを設置し、盗難保険も用意されている。会員登録は無料だ。

ニューヨーク市は、マイケル・ブルームバーグ市長時代の2000年代初頭、自転車による移動の割合を増やそうと自転車用レーンの整備に予算を投じ始めた。だが、駐輪場の問題は適切に対処されてこなかった。スチュアートはオーニーを創業する際、市の取り組み方にあらためて疑問を感じ、自力で調査した。結果、富裕国の多くの政府は、米国で最も先進的な都市よりももっと包括的に自転車インフラへ予算を費やしていた。地元の政策立案者が自転車の盗難や天候の問題を放置している状態で、自転車の利用を本気で奨励していると言えるのだろうか。

「自動車の駐車場のことを考えずに、土地の利用や屋外での食事、路上の活用、歩行者用広場、バス用レーンについて論じることはできません」とスチャートは言う。「自転車の駐輪場のことを考えずに、交通手段としての自転車について真剣に議論できると考えているのなら、それは信じられないことです」。

そして、オーニーの使命はサイクリングの世界の不平等を正すことにもあるとスチュアートは話す。自転車はしばしば、上流社会の人々(特に、高収入の白人)の娯楽と思われがちだ。だが、収入が最低レベルの人々にとっては、自転車通勤に頼らざるを得ないことが多く、自転車が盗まれた場合、経済的に苦労する可能性も高くなる。

「サイクリングをサポートする、当を得た、切実に求められているインフラが欠如しています。その現状が、自転車という交通手段に頼っている層に対する誤解と重なるのです」と黒人のスチュアートは語る。スチュアートは、ニューヨーク市の自転車利用者の人口統計を意図的に反映して、オーニーのスタッフを配置しようとしている。

オーニーはまだ黎明期で、ニューヨーク市とハドソン川沿いのジャージーシティ市にわずかなポッドがあるだけで、利用者は4000人程度だ。定期的に利用している人はもっと少ない。スチュアートは、会員の約10%が全体の9割の利用を生み出していると言う。しかし、成長のためのお膳立ては整っている。対応地域拡大のための計画はすでにあり、フルサイズのポッドを9基追加するほか、「ミニ(Minis)」と呼ぶ最大10台が駐輪できるポッドも数十基導入する予定だ。

米国の都市には今、「保護型の駐輪場」を当たり前にするチャンスが広がっているとスチュワートは言う。「今ではシェア自転車は当たり前ですが、15年前はそうではありませんでした。私たちが自転車の利用に関する見方、考え方の水準を引き上げていくつもりです。今後、サイクリストの間で『なぜ、この街にオーニーがないの?』という声が高まっていくでしょう」。

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