KADOKAWA Technology Review
×
「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集中!
India Now Has the World’s Worst Air Pollution

大気汚染で年間死者約110万人のインドは世界最悪の状況

インドでは年間約110万人が大気汚染で亡くなっており、世界最悪の状況だとわかった。また、中国からサウジアラビアまで、東西アジアの都市では、サイクリングで30分走っただけで健康増進効果は微細粒子を吸い込むことの悪影響で打ち消されてしまう。 by Michael Reilly2017.02.16

「世界最悪」は、どこの国も避けたい不名誉だ。現在インドでは、有害物質にまみれた大気のせいで年間110万人が亡くなっており、地球上で最も致命的な大気汚染が発生する国として確固たる地位を築いている。

中国の都市がスモッグに覆われる様子は誰もが目にしてきたし、中国の大気汚染は長年の間、死者数で世界最悪だった。現在インドがほぼ同じ状態にあるが、インドと中国は異なる方向に歩んでいる、と2月14日に公表された世界大気環境に関する新しい報告書は述べている。

ボストンの保健影響研究所(HEI)とシアトルの保健指標評価研究所(IHME)の共同研究によれば、1990年以降、欧米等の大半の先進国では、大気を浄化する措置を継続してきた。中国は長年の間、大気汚染の象徴だったが、政府の規制が強化されており、大気汚染が原因とみられる死者はここ5年間で横ばいが続き、死亡率は着実に下落傾向にある。

インドは事情が異なる。2010年から2015年にかけて、大気汚染で年間の死者は95万7000人から110万人に悪化した。死亡率は変わらない一方で、急激な工業化、エネルギーとしての石炭依存率の高さ、人口増加、大気汚染の影響を受けやすい高齢者の増加等の複合的要因があり、ある研究者はニューヨーク・タイムズ紙に「インドにとって破滅的な状況」と述べた。

もちろん、どの国も経済成長を追求している。インドだけが大気汚染が健康に与えている悪影響に厳しく対処すべきとはいえない。13日のガーディアン紙の記事によれば、中国からサウジアラビアまでの多くの都市で大気汚染が悪化しており、ほんの30分、大気汚染による死の主要因である微細粒子に吸い込むだけで、サイクリングによる健康増進効果を打ち消してしまう。

(関連記事:The New York Times, The Guardian, “機械学習は大気汚染を解決できるか,” “How Dirty Is Your Air?”)

人気の記事ランキング
  1. AI can make you more creative—but it has limits 生成AIは人間の創造性を高めるか? 新研究で限界が明らかに
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2024 「Innovators Under 35 Japan」2024年度候補者募集のお知らせ
  3. A new weather prediction model from Google combines AI with traditional physics グーグルが気象予測で新モデル、機械学習と物理学を統合
  4. How to fix a Windows PC affected by the global outage 世界規模のウィンドウズPCトラブル、IT部門「最悪の週末」に
  5. The next generation of mRNA vaccines is on its way 日本で承認された新世代mRNAワクチン、従来とどう違うのか?
タグ
クレジット Photograph by Money Sharma | Getty
マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年も候補者の募集を開始しました。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る