KADOKAWA Technology Review
×
Facebook Has a Plan to Take Cellular Data to the Sticks

壮大すぎるフェイスブックの
ユーザー増加策

新しいオープンソースプラットフォームの狙いは、アクセス拠点を街路樹や街路灯に取り付けて4Gデータ通信を世界の果てでも使えるようにすることだ。 by Jamie Condliffe2016.07.09

Facebookが発表した新たなオープンソースの無線アクセス用プラットフォーム「オープンセルラー」は、ハードウェアとソフトウェアで小規模のセルラーネットワークを構成し、世界の最も貧しい地域の人々が、電話機でインターネットに接続できることを目指す。

発展途上世界では携帯電話が普及している(多くのアフリカ諸国におけるモバイル機器の所有率は米国と似ている)ものの、データ通信はそこまで普及しておらず、ユーザーはSMSを使うことが多い。もちろん西洋世界にも、データ通信を利用しにくい場所は多く残っている。

オープンセルラーは、この問題を解決するフェイスブックの計画だ。発展途上国ではもちろん、先進国のへき地にも、無線ネットワークのアクセス拠点を増やすための、より安価な手段を模索する最初の一歩だ。低価格なプラスチックケースには、基本的な制御用ハードウェアと無線回路のチップが納められており、木や街灯の柱でも近くにある高いモノならどこにでも取り付けられる。

無線アクセスを提供するには、オープンセルラーの装置が、通常は有線ネットワークで(ドローンや気球でも構わない)インターネットに接続されている必要がある。ただし、インターネットに接続していなくても、オープンセルラーにつながっている人同士であれば、通信できる(インターネットとは接続されていない閉じたネットワークになる)

現時点の試験により、オープンセルラー対応装置は、SMS、音声通話、2Gのデータ通信を提供できることがわかっている。だがフェイスブックはオープンセルラーをLTEにも対応させるつもりだ。フェイスブックによると、、いずれは、制御用ソフトから信号の増幅器やフィルター、取り付け機器、アンテナまで、全システムの設計をオープンソースプラットフォームとして無料提供するという。

オープンセルラーはフェイスブックの壮大な計画「テレコム・インフラ計画」の一部であり、無線ネットワークやハードウェアを設計、開発するための主だった企業(ドイツテレコム、韓国SKテレコム、インテル、ノキアなど)を巻き込んで、5G通信や超高速公衆無線LAN計画を進めている。

一連の計画は、フェイスブックが無線LANの世界にハードウェアメーカーとして進出することを意味しない。接続性を高めて、通信事業者の加入者を増加させ、究極的にFacebookのユーザーを増やす戦略的な計画の一部なのだ。

関連ページ

人気の記事ランキング
  1. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  2. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  3. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る