電動航空機にはまだ滑走路が必要、eVTOL企業が計画見直し
「空飛ぶクルマ」と呼ばれることもあるeVTOL(電動垂直離着陸機)が注目されている。だが、規制や技術的な障壁により、従来型の飛行機を電動化した機体が先に空を飛ぶことになりそうだ。 by Casey Crownhart2023.05.04
少なくともあるスタートアップ企業にとって、フライトの未来は過去のものと少し似ているのかもしれない。
ベータ・テクノロジーズ(Beta Technologies)は、2025年までに従来型の飛行機に近い電動航空機の認証を取得する計画を発表した。代わりに、ヘリコプターのように離着陸できる未来型の電動航空機のデビューは延期されることになる。
少人数の乗客や少量の貨物の短距離輸送を担う小型電動航空機の製造に取り組む企業が増えている。ベータはそのうちの1社だ。こうした企業が開発している航空機の多くは、滑走路がなくても離着陸できるように設計された「eVTOL(電動垂直離着陸機)」と呼ばれる機体だ。
「私たちは持続可能な航空産業の未来を創ろうとしています。大きくて高い目標です」と、ベータの創業者兼CEOであるカイル・クラークは言う。主に貨物配送に注力する同社は、8億ドル以上の資金を調達し、UPS、Blade(ブレード、米国のヘリコプター予約サービス企業)、ニュージーランド航空などからeVTOL機の受注を獲得している。
航空産業は世界の温室効果ガス排出量の約3%を占めており、気候変動に与える影響はますます大きくなっている。電動航空機は温室効果ガスの排出量削減には役立つが、技術面や規制面でのハードルが依然として業界に立ちはだかっている。ベータがエアタクシーのようなものではなく、もっと一般的な飛行機のような機体から始めようとしているのは、これが理由の1つだ。
ベータはeVTOLの計画を破棄したわけではないが、まずは従来型の飛行機に近い「CX300」モデルの認証を取得する予定だ。CX300は滑走路で離着陸する必要がある。同社はこのタイプの航空機を、バーモント州の本拠地近くや州をまたぐテスト飛行で合計3万5000キロメートル以上飛ばしてきた。また、アーカンソー州(約2200キロメートル)やケンタッキー州(約1200キロメートル)でもそれぞれ飛行している。こうした長時間の移動では途中でバッテリーを充電する必要があるものの、同社の航空機は1回の充電で約621キロメ …
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