KADOKAWA Technology Review
×
使用済み風力タービンの羽根がゴミの山に? 再生可能にする新手法
Getty Images
気候変動/エネルギー 無料会員限定
How chemists could give new life to old wind turbine blades

使用済み風力タービンの羽根がゴミの山に? 再生可能にする新手法

風力タービンのブレードは極めて堅牢であるため、寿命を迎えたとき、どう処分するかが問題となっている。新しいケミカル・リサイクル手法により、埋め立てられる運命の材料が再利用可能になるかもしれない。 by Casey Crownhart2023.05.16

風力タービンは気候変動対策に欠かせない。だが、その寿命が尽きたとき、タービン・ブレードは膨大な廃棄物の山をさらに高く積み上げることになる。この4月にネイチャー(Nature)誌に発表された新たな研究は、最終的に埋立て処分せずに済む再生可能エネルギー・インフラの構築に向けた第一歩となるかもしれない。

風力タービンのブレードはその機能を果たすために、頑丈であることが必要だ。この再生可能エネルギーの大黒柱は数十年の耐久性があり、毎分約30回転に達する速度で回り続ける。

だが解体の時を迎えると、風力タービンの強みが欠点になる。 ブレードは非常に高い耐久性を持つよう設計されているので、製造に使われる材料は現在のところリサイクルが困難だ。そして、約4300万トンのブレードが2050年までに運用を終える。

今回の新たな研究は、風力タービン・ブレードの主要部品を回収し、材料の主要な構成要素を破壊せずにプラスチックを分解する方法について説明している。

「私たちには持続可能なエネルギーが必要ですが、廃棄物のことも考慮しなければいけませんし、その解決法を見つけなければなりません」。デンマークのオーフス大学の博士研究員で、研究論文の筆頭著者であるアレクサンダー・アーレンスは言う。

風力タービン・ブレードはエポキシ樹脂と呼ばれる丈夫なプラスチックで作られる。エポキシ樹脂は硬化するときに、化学結合が作られるので、飲料ボトルやミルク容器を作るプラスチックのように溶かして新たな形に成形して再利用することができない。風力タービン・ブレードの場合、強度を上げるために繊維も樹脂に混合されている。このような強化材料は、補強繊維がガラス製の場合グラスファイバーと呼ばれるが、航空機の翼やボートなどの …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る