KADOKAWA Technology Review
×
海藻で地球を救えるか? シミュレーションで分かった厳しい現実
Michael S. Lewis / Getty Images
気候変動/エネルギー 無料会員限定
Seaweed farming for carbon dioxide capture would take up too much of the ocean

海藻で地球を救えるか? シミュレーションで分かった厳しい現実

海で海藻を養殖して二酸化炭素を吸収させることで、地球温暖化を防ごうとするアイデアが注目されている。米国の研究チームが、このアイデアが現実的であるかどうかを調べるためにシミュレーションを実行した。 by Rhiannon Williams2023.06.20

地球温暖化の深刻な危険を回避するには、大気中の二酸化炭素(CO2)を大量に除去することが不可欠であることは、専門家の共通認識となっている。そのため、ここ数年、海藻を育てて空気中の二酸化炭素を海に閉じ込めることに焦点を当てたプロジェクトが、米国政府やアマゾンなどの民間企業から注目され、多額の資金を獲得している。

問題は、気候変動に関する目標の達成に必要な量の海藻を栽培することは、結局のところ現実的ではないかもしれないということだ。

ネイチャー・コミュニケーションズ・アース・アンド・エンバイロメント(Nature Communications Earth & Environment)誌に6月15日に掲載された新しい研究によると、1年間で10億トンの二酸化炭素を大気から除去するには、約100万平方キロメートルの海を養殖場にする必要があると推定されている。海岸線沿いでは海運業や漁業との競合があるため、海藻が生育しやすい場所にそれだけのスペースを確保するのは容易ではない。

このことを踏まえて、気候目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を大幅に削減することに加え、毎年25億トンから130億トンの二酸化炭素を大気中から回収する必要があると、この研究の著者たちは述べている。

さまざまな科学モデルでは、地球 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  2. IBM aims to build the world’s first large-scale, error-corrected quantum computer by 2028 IBM、世界初の大規模誤り訂正量子コンピューター 28年実現へ
  3. Inside the tedious effort to tally AI’s energy appetite 動画生成は別次元、思ったより深刻だったAIの電力問題
  4. What is vibe coding, exactly? バイブコーディングとは何か? AIに「委ねる」プログラミング新手法
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る