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米国で一時高まった
「顔認識規制」の動き、
その後を追う
Sarah Rogers/MITTR | Getty
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Face recognition in the US is about to meet one of its biggest tests

米国で一時高まった
「顔認識規制」の動き、
その後を追う

全米で一時広がりを見せていた「顔認識」テクノロジー禁止の動きはここ数年で鈍化している。部分的な規制に落ち着いたマサチューセッツ州の法案は、米国における規制の基準となるかもしれない。 by Tate Ryan-Mosley2023.08.21

米国で警察署の顔認識使用を禁止しようという動きが強まったのは、わずか4年前のことだった。2020年末までに、およそ18都市が警察における顔認識テクノロジーの採用を禁じる法律を制定した。連邦議会議員らは、連邦政府による顔認識テクノロジーの使用の一時中断を提案した。

それから数年間、この動きは鈍化し、中断されていた。デジタル著作権団体「ファイト・フォー・ザ・フューチャー(Fight for the Future)」のデータベースによると、2021年には5つの自治体が警察と政府における顔認識の使用禁止を可決した。だが2022年、そして2023年はこれまでのところ可決されていない。禁止を部分的に撤回した自治体もあり、近い将来、連邦政府が「警察の顔認識使用禁止」を可決する可能性があると真剣に信じる者はほとんどいなくなった。そうしている間にも、使用に関する法的な制限がないため、顔認識テクノロジーは人々の日常生活に深く浸透する一方だ。

だがマサチューセッツ州では、警察による顔認識へのアクセスを制限したい人々にとって希望が見えてきた。同州の州議会議員らは現在、警察の顔認識テクノロジーの使用を制限するため、超党派で州法の案を作成している。全面禁止ではないものの、すべての法執行機関ではなく州警察だけが使用可能にしようというものだ。

まもなく採択に持ち込まれる可能性があるこの法案は、顔認識テクノロジー使用の自由度を高めたい警察と、完全禁止を望む活動家のどちらにとっても不満が残る妥協案になるかもしれない。だが、物議を醸すこのようなツールの警察使用をめぐり、今後の潮流を見極める上での重要な試金石となるだろう。

顔認識の規制に関していえば、マサチューセッツ州ほど重要となる州はあまりないだろう。州内ではどの州よりも多くの自治体が顔認識テクノロジーを禁止しているほか、人権団体、学者、テック企業の中心地でもあるからだ。突破口を必要としている規制運動にとって、この法制度が成立するかどうかに多くがかかっているのだ。

米国では現在、警察における顔認識の使用に関する規制が政治的な膠着状態に陥っている。マサチューセッツのような主要な州で法案が通過すれば、妥協という新時代の幕開けとなるかもしれない。全米で最も厳格な州法の1つとなり、他の州でどのように顔認識が規制されるかの基準となる可能性もある。

その一方、採決が延期されたり失敗したりすれば、国が他の政策課題に移行していくにつれて、この運動が衰退化しつつあることを示す新たな兆候ということになるだろう。

権利擁護の歴史

プライバシー擁護団体や公益団体は、成長し続ける警察の最先端の監視ツールの要である顔認識の侵害性に、長らく懸念を抱いてきた。懸念の多くはプライバシーに関するものだ。例えば、ライブ映像を使った顔認識は人々をリアルタイムで追跡できるため、写真を使った遡及的な認識よりもリスクが高いと考えられる。

こうした懸念は2018年、クリアビューAI(Clearview AI)という小さな企業が、プライバシーを粉砕する爆弾のような新製品を出したことで最高潮に達した。

クリアビューAIの強力なテクノロジーは、プライバシーと捜査をめぐる米国の状況を劇的に変化させた。同社は全国の何百もの法執行機関に、製品の無料トライアル版を密かに提供した。人物を特定したい警察官は突然、以前はアクセスさえできなかった膨大な数の画像、つまりインターネット上に公開されている何十億枚もの写真の中から、すばやく徹底的に探せるようになった。

まさに同年、顔認識ツールの正確度は人種やジェンダーによって異なるという証拠が出揃い始めた。マサチューセッツ工科大学(MIT)のジョイ・ブオラムウィニ研究員とマイクロソフト・リサーチのティムニット・ゲブル研究員(いずれも肩書は当時)による「ジェンダー・シェード」という画期的な研究によって、顔認識テクノロジーによる有色人種と女性の識別が、白人男性に対するものよりもはるかに正解率が低いことが分かった。

米国政府は、米国国立標準技術研究所(NIST)が実施した2019年の研究において、多くの商業用顔認識アルゴリズムを用いたアジア人と黒人の顔識別は、白人の顔識別よりも10~100倍不正確であるとの結果を得ている。

政治家たちはリスクに気づき出した。2019年5月、サンフランシスコ市は警察の顔認識使用を禁止した全米初の都市となった。その1カ月後、マサチューセッツ州の米国自由人権協会(ACLU)は「プレス・ポーズ(Press Pause)」と呼ばれる画期的なキャンペーンを発表した。これは州内の全都市の警察に対し、顔認識テクノロジーの使用一時禁止を要求するものだった。マサチューセッツ州サマービル市は、米国で2番目に顔認識使用を禁止した都市となった。

翌年にはボストン、ケンブリッジ、スプリングフィールドなどさらに6つのマサチューセッツ州の都市が、警察や政府の顔認識使用の禁止を承認した。先手を打っていた都市もある。例えばボストンは、「顔認識が禁止された時、ボストン警察は顔認識テクノロジーを使用していなかった」という。アマゾン、マイクロソフト、IBMなどの大手テック企業は、顔認識テクノロジーの販売を中止した。人権擁護者たちは、警察使用の全国的な禁止を働きかけた。

2020年6月にボストンで禁止が可決された後、米国自由人権協会マサチューセッツ支部のキャロル・ローズ事務局長は、「マサチューセッツ州の全住民はこうした保護に値します。マサチューセッツ州議会は州全体での政府の顔監視使用の一時禁止を可決することにより、同テクノロジ …

全米で一時広がりを見せていた「顔認識」テクノロジー禁止の動きはここ数年で鈍化している。部分的な規制に落ち着いたマサチューセッツ州の法案は、米国における規制の基準となるかもしれない。
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