KADOKAWA Technology Review
×
7/30イベント「バイブコーディングの正体——AIエージェントはソフトウェア開発を変えるか?」申込受付中!
送電網にAI革命、カリフォルニア州で北米初の自動管理システム
Yichuan Cao/Sipa USA via AP Images
気候変動/エネルギー 無料会員限定
California is set to become the first US state to manage power outages with AI

送電網にAI革命、カリフォルニア州で北米初の自動管理システム

カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO)が、生成AIを活用した停電管理システムの導入を決定した。現在は停電報告書を人手で読み込んでいるが、AIが自動でキーワードをスキャンし予測レポートを生成。将来は送電網の主要機能に関する意思決定の自律化を検討する。 by Alexander C. Kaufman2025.07.15

この記事の3つのポイント
  1. CAISOが生成AIソフトウェア「ジーニー」を用いて停電管理の自動化を進めている
  2. 従来は人手で行っていた停電報告書の分析作業をAIが一括処理し効率化を図る
  3. 米国エネルギー省もAIによる送電網運用の改善可能性を報告書で指摘している
summarized by Claude 3

カリフォルニア州全域を管轄する送電網運用事業者が、北米で初めて人工知能(AI)を用いた停電管理の導入を進めていることが、MIT テクノロジーレビューの取材で明らかになった。

「私たちは送電網運用を近代的なものに変えたいと考えていました。この技術はまさにその目的に合致しています」。カリフォルニア州独立系統運用機関(CAISO、カイソー)の電力系統技術担当上級顧問であるゴパクマール・ゴピナサンは話す。「AIはすでにさまざまな業界に変革をもたらしています。しかし、私たちの業界でAIが活用されている事例はまだ多くありません」。

7月15日にミネアポリスで開催される公益事業の業界サミット「DTECH Midwest」で、CAISOはエネルギーサービス大手OATIの新しいAIソフトウェア「ジーニー(Genie)」を用いたパイロット・プログラムの実施を発表する予定だ。ジーニーは、生成AI技術を用いて、送電網運用者向けにリアルタイム分析を実行。さらに、送電網の主要機能に関する意思決定を自律的にこなす可能性を秘めている。たとえて言うなら、交通整理を担う警察官からセンサー付き信号機へと移行するようなものだ。

CAISOは、シリコンバレーの最先端企業や研究所に電力を供給しているが、カリフォルニア州の電力系統の実際の運用は、驚くほどアナログな作業に依存している。現在、CAISOのエンジニアたちは停電報告書から計画中または進行中の保守作業に関するキーワードを探し出し、それらのメモを読み込み、それぞれの項目を送電網ソフトウェアに入力し、断線した送電線や変圧器が電力供給に与える影響をシミュレーションしている。

「1件のレポートを調べるのに1分もかからないとしても、それが200~300件にのぼれば、莫大な時間になります」。OATIでプラットフォーム・可視化・分析部門を担当するアビマニュ・タクル副社長は語る。「さらに、部署ごとに独自のキーワードで処理しているため、それらを単一のキーワード辞書に統合すれば、AIが一括でスキャンし、予測レポートを生成できる …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. What comes next for AI copyright lawsuits? AI著作権訴訟でメタとアンソロピックが初勝利、今後の展開は?
  2. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
  3. Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
  4. Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機
  5. Don’t let hype about AI agents get ahead of reality 期待先行のAIエージェント、誇大宣伝で「バブル崩壊」のリスク
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を発信する。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2025年版

本当に長期的に重要となるものは何か?これは、毎年このリストを作成する際に私たちが取り組む問いである。未来を完全に見通すことはできないが、これらの技術が今後何十年にもわたって世界に大きな影響を与えると私たちは予測している。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る