KADOKAWA Technology Review
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The Fuel Cell Isn’t Dead Yet

燃料電池は軍事用途で生き残る

水素エネルギー社会は実現しそうにない。効率よく水から水素を取り出せるようにはなったが、インフラが整備されなければ消費者には見向きをされないのだ。しかし、低騒音や高稼働率といった特徴は、産業や軍事用途に根強い需要があり、このまま消えてしまうわけではなさそうだ。 by Jamie Condliffe2017.04.10

期待の水素エネルギー社会は実現しなかった。だが、走行音が静かで中断なく走行できる車両を求める企業や組織にとって、水素燃料電池は今でも魅力的な存在だ。

水素燃料自動車を社会全体に浸透させようとしたが、うまくいっていない。水素燃料自動車を引き続き推進している自動車メーカーもあるが、計画を見直すメーカーが増えている。ダイムラーはかつて、環境に優しい未来の車として水素燃料自動車を盛んにアピールしていた。しかし最近になって、水素燃料自動車の代わりに、完全に電気だけで動作する自動車に集中すると発表した。また昨年の報道によると、水素自動車の販売数は2027年まで現状と同じく低水準にとどまる可能性がある。

水素燃料自動車が普及しない理由はさまざまだ。水素燃料は通常、天然ガスを原料に生産されるが、その過程で大量の温室効果ガスが排出される。環境に影響の出にくい方法で、妥当なコストで水素を量産する試みはこれまでのところ失敗続きだ。イーロン・マスクが強く繰り返し主張している通り、水を電気分解して水素を生成する代替手段は効率が悪い。また、水素燃料を充填するインフラ設備は圧倒的に足りない。それで、消費者は水素燃料自動車に魅力を感じない状態になっているのだ。

とはいえ、水素燃料自動車には実に魅力的な特徴がひとつある。電気自動車の充電とは異なり、燃料電池自動車は燃料の補充から再稼働まで数分しかかからないのだ。この特徴のおかげで、水素燃料自動車は特に、産業用や国防用途で関心が根強くある。

ディフェンス・ニュースの記事にあるとおり、電動車両のステルス性能は軍にとって魅力的だ。電動ジープ部隊はガソリン燃料ジープ部隊と比較べて、ほとんど音を出さない。しかも、紛争地帯に充電ステーションが数多く設置されていることはまずない。たとえば、この記事の冒頭の写真、ゼネラルモーターズ(GM)製シボレー・コロラドZH2は、タンク一杯に水素を充填しておけば、約644キロ走行し、基地に戻れば素早く水素を補充できるから、コンセントにつないで充電する必要がある車より、軍が採用する可能性は高い。また、シボレー・コロラドZH2には、あらゆる従来型燃料を使って、自動車が使う水素を戦場で自前で生成する装置が最終的に搭載されることになっている。

アマゾンもこの理屈に乗ったようだ。先週、アマゾンは水素燃料電池企業「プラグ・パワー」と提携すると発表した。発表によれば、アマゾンはプラグ・パワーの株式23%を取得し、アマゾンの倉庫の一部で、フォーク・リフト・トラックの動力源にプラグ・パワーのハードウェアを使い始めるという。電池型のフォークリフトは通常、充電中は動かせないため、燃料電池搭載のフォークリフトに置き換わるだろう。水素を使えば、アマゾンは今後も倉庫内に排気ガスを排出しない低騒音車両を使える。しかも、タンクに燃料入れさえしておけば、業務の中断はほぼなくなる。

確かに、この記事で紹介した水素燃料自動車の事例は非常に狭い分野だ。しかし水素燃料電池に適した分野がまだあることを証明するには十分だ。水素燃料自動車の活躍の場は、一般車道ではない、というだけなのかもしれない。

(関連記事:Defense News, Reuters, “Forget Hydrogen Cars, and Buy a Hybrid,” “The Road to Solar Fuels Hits a Speed Bump”)

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クレジット Image courtesy of GM
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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