価格は再び上昇へ、2026年にリチウムに注目すべき理由
バッテリーの原料として注目され、一時高騰から暴落したリチウムの価格が再び上昇する兆しを見せている。リチウムに依存しないバッテリーや、鉱石以外からリチウムを得るための研究開発が、再び活性化する可能性がある。 by Casey Crownhart2026.01.26
- この記事の3つのポイント
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- リチウム価格が再上昇傾向にあり、中国のEV成長と送電網向け蓄電池需要が主要因となっている
- 過去数年でリチウム価格は激しく変動し、2020年からの急騰後に急落したが現在再び上昇している
- 代替電池技術開発や直接リチウム抽出の商業化が本格化するなど2026年はリチウムに再び注目すべき
2026年、私はリチウムの価格動向を注意深く見守るつもりだ。
もしあなたが躍起になって商品市場を追跡する習慣を持っていないとしても、まったく問題はない。ただし、最近のニュースを見れば、鉱物が世界の政治や経済に大きな影響を与える可能性があることは明らかだ。
リチウムは今、特に注意深く見る価値がある。
この金属は、携帯電話やパソコン、電気自動車(EV)、送電網向けの大規模エネルギー貯蔵システムなどに使用されているリチウムイオン電池にとって不可欠である。価格はここ数年間、まさにジェットコースターのような動きを見せており、低迷期を経て再び上昇傾向にある。次に何が起こるかは、採掘や電池技術に大きな影響を与える可能性がある。
未来を見通す前に、過去を少し振り返ってみよう。2020年には世界のEV販売台数が本格的な増加を始め、バッテリー用のリチウムの需要が急増した。需要の増加に供給が追い付かなかったため、リチウムの価格は劇的に急騰し、炭酸リチウムは1キログラム当たり10ドル未満から、わずか2年で約70ドルの高値にまで上昇した。
そしてテック業界が動いた。その高騰期に、リチウムに依存しない代替バッテリーの開発に大きな関心が寄せられたのだ。私はナトリウムイオン電池、鉄空気電池、さらにはプラスチック製の実験的なバッテリーについて記事を書いていた。
研究者やスタートアップ企業は、バッテリー・リサイクルや直接リチウム抽出(これについては後で詳しく説明する)などの処理方法といった、リチウムを得る代替手段も探していた。
しかし間もなく、価格は急落した。米国でのEV需要が予想を下回り、供給側は採掘と精製の体制を強化した。2024年後半から2025年にかけて、炭酸リチウムは再び1キログラム当たり約10ドルにまで戻った。リチウムを避けたり、リチウムを得る新しい方法を見つけたりすることは、突然それほど重要ではなくなった。
そして現在に至る。リチウムの価格が再び上昇している。これまでのところ、数年前に見た劇的な上昇には程遠いが、アナリストは注意深く動向を見守っている。この価格上昇には中国での強いEV成長が主要な役割を果たしている。EVは今日でもバッテリー需要の約75%を占めているのだ。しかし、定置型エネルギー貯蔵システム、つまり送電網向け蓄電池の成長も、中国と米国の両方でリチウム需要の増加に寄与している。
リチウム価格の上昇は新たな機会を生み出す可能性がある。その可能性には代替バッテリー化学、特にナトリウムイオン電池が含まれると、ブルームバーグNEF(BloombergNEF)のバッテリー技術・サプライチェーン責任者のエヴェリーナ・ストイコウは述べる。
しかし、バッテリーだけではない。リチウム価格の変動で大きな変化を見る可能性があるもう一つの産業、それは「抽出」である。
現在、リチウムの大部分は主にオーストラリアの岩石から採掘され、精製のために中国に出荷される。しかし、各国が独自のリチウム・サプライチェーンを構築しようとする中、中国以外でリチウムを精製能力の拡大が進んでいる。テスラ(Tesla)は最近、2023年に着工した米テキサス州のリチウム精製所で生産を開始したことを認めた。リチウムの価格が上昇し続ければ、中国以外の処理工場への投資がさらに増える可能性がある。
2026年は直接リチウム抽出にも重要な年になる可能性があると、ケイティ・ブリガムがヒートマップ(Heatmap)の最近の記事で書いている。直接リチウム抽出は、化学的または電気化学的プロセスを使用して、通常は塩湖や地下貯水池から調達される塩水からリチウムを迅速かつ安価に抽出する技術である。ライラック・ソリューションズ(Lilac Solutions)、スタンダード・リチウム(Standard Lithium)、リオ・ティント(Rio Tinto)などの企業は2026年に、米国とアルゼンチンで商業施設の計画を立てたり、建設を開始しようとしたりしている。
過去数年間、バッテリーと鉱物を追いかけてきて学んだことがあるとすれば、それは未来を予測することは困難だということである。しかし、それでもなお未来を占いたいのであれば、リチウムの価格は気にかけておく価値がある。
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- ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
- MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。