核廃棄物はリサイクルできる——ただし「経済的利益はない」
原子炉から排出される使用済み核燃料の再処理は、新たな原料を採掘しなくて済むうえ、厄介な放射性廃棄物も減らせるという点で非常に魅力的だ。しかし、技術やコストの面で問題がまだ多く残されており、大々的な実用化には至っていないのが現実だ。 by Casey Crownhart2026.03.30
- この記事の3つのポイント
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- 使用済み核燃料には利用可能なウランが残っているが、再処理は費用が高く複雑で完全循環は困難である
- フランスが世界最大の再処理プログラムを運営するが、経済性よりもエネルギー自立という政治的理由が主な動機となっている
- 再処理により廃棄物量は減るものの、最終的な地層処分場は必要で、核拡散リスクや技術的制約も存在する
ゴミを有用なものにするという見通しは、私にとって常に魅力的である。使用済みバッテリーであれ、太陽光パネルであれ、使用済み核燃料であれ、廃棄される運命にあるものから利用価値を得ることは、あらゆる面で勝利のように思える。
原子力エネルギーにおいて、廃棄物をどう処理するかを見つけ出すことは常に課題であった。この物質は慎重に扱う必要があるからだ。新しい記事で、私は先進的な原子炉が使用済み核燃料廃棄物にとって何を意味するかという問題を掘り下げた。先進的な原子炉を開発する企業の原子炉設計に登場する新しい冷却材、燃料、物流は、いくつかの調整を必要とする可能性がある。
私の取材は、私の頭の中に残っていたもう一つの疑問にも答えるのに役立った。なぜ世界はもっと多くの核廃棄物をリサイクルしないのか?
使用済み核燃料が原子炉から取り出される時点でも、まだ多くの利用可能なウランが残っている。使用済み燃料をより多く利用することで、廃棄物と新しい原料を採掘する必要性の両方を削減できる。だが、そのプロセスは費用がかかり、複雑で、100%効果的ではない。
フランスは現在、世界最大かつ最も確立された再処理プログラムを持っている。フランス北部のラ・アーグ工場は、年間約1700トンの使用済み燃料を再処理する能力を持つ。
この工場は「PUREX(ピューレックス)」と呼ばれるプロセスを使用している。使用済み燃料を酸に溶かし、化学処理を経てウランとプルトニウムを抽出し、それらを分離する。抽出されたプルトニウムは混合酸化物(MOX)燃料の製造に用いられ、従来の原子炉の燃料として混合して使用されたり、一部の特殊設計の原子炉では単独で燃料として使用されたりする。ウランは再濃縮されて、標準的な低濃縮ウラン燃料として使用される。
再処理により、特別な取り扱いが必要な高レベル核廃棄物の総量を削減できると、ブリティッシュコロンビア大学公共政策・国際関係学部長で、元原子力規制委員会(Nuclear Regulatory Commission:NRC)委員長のアリソン・マクファーレンは述べている。
しかし、少し問題がある。現在、恒久的な核廃棄物貯蔵のゴールドスタンダードは地層処分場、つまり地下深くの貯蔵施設である。処分場にもよるが、これらの施設にどれだけの物質を貯蔵できるかの主要な制限要因は、量ではなく熱であることが多い。そして使用済みMOX燃料は従来の使用済み燃料よりもはるかに多くの熱を発するとマクファーレン元委員長は言う。したがって、量が少なくても、使用済みMOX燃料は処分場で同じか、さらに多くのスペースを占める可能性がある。
このプロセスを真の循環にすることも困難である。再処理から生産されるウランは、分離が困難な同位体で汚染されているとマクファーレン元委員長は言う。現在、フランスは本質的に、戦略的備蓄として将来の濃縮の可能性に備えてウランを保存している(歴史的には、濃縮のためにロシアに一部を輸出したこともある)。そしてMOX燃料は一部の原子炉で使用できるが、一度使用済みになると、再処理は技術的に困難である。したがって現在、最良のケースでも燃料は無限ではなく2回しか使用できない。
「責任ある分析者なら誰でも、何があっても、リサイクルプロセスがどれほど優れていても、最終的には地層処分場が必要になることを理解しています」。こう話すのは、憂慮する科学者同盟(Union of Concerned Scientists)の原子力安全部長エドウィン・ライマンだ。
再処理には欠点もあるとライマン部長は付け加える。リスクの1つは、プロセスで作られるプルトニウムから生じるもので、これは核兵器に使用できる。フランスは高度なセキュリティと、プロセスで作られたプルトニウムを迅速にMOX燃料製品に変換することで、そのリスクに対処している。
再処理は非常に高価でもあり、ウランの供給は厳しい制限は受けていない。「現時点では再処理に経済的利益はありません」と、元エネルギー省でNRC職員のポール・ディックマンは話す。
ディックマンによると、フランスが再処理に伴う高いコストを負担するのは、主に政治的理由によるものだという。フランスはウラン資源を持たず、現在は輸入で賄っている。再処理はエネルギー自立を確保するのに役立つ。「フランスは国家安全保障のプレミアムを喜んで支払っているのです」。
日本は現在、使用済み燃料再処理施設を建設中だ。しかし、1993年に建設を開始し、当初は1997年までに稼働開始予定だったこのプロジェクトは遅延に悩まされている(日本版注:日本原燃の六ヶ所再処理工場のこと)。現在、この施設は2027年までに稼働を開始する予定である。
新しい技術が再処理をより魅力的にする可能性があり、米エネルギー省などの機関は先進的な分離技術に関する長期研究をすべきだとディックマンは言う。先進的な原子炉に取り組む企業の中には、燃料サイクルで代替再処理方法を使用する計画だと述べているところもある。
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- ケーシー・クラウンハート [Casey Crownhart]米国版 気候変動担当記者
- MITテクノロジーレビューの気候変動担当記者として、再生可能エネルギー、輸送、テクノロジーによる気候変動対策について取材している。科学・環境ジャーナリストとして、ポピュラーサイエンスやアトラス・オブスキュラなどでも執筆。材料科学の研究者からジャーナリストに転身した。