成層圏に浮かぶ5G基地局が
この夏、日本にやってくる
米国企業が製造した5G基地局となる飛行船が8月に日本に到着し、5G基地局としてのテスト運用を開始する予定だ。成層圏にとどまってサービスを提供する同飛行船は人工衛星に比べて、打上げコストや電波の送信エネルギーの点で有利となる可能性がある。 by Rachel Courtland2026.06.26
早ければ8月にも、巨大な銀色の飛行船が米国南西部の乾いた大気を切り裂き、太平洋を横断して日本の海岸へと到達する。
全長約60メートルのこの機体は、米ニューメキシコ州に拠点を置く企業であるスカイ(Sceye)が製造したものだ。日本に到達すると海面から約18キロメートル上空、成層圏と呼ばれる極めて薄い大気層に停留する。そこで専用アンテナを使い、ソフトバンクの5Gネットワークを補完するテストを実施する予定で、デバイスへの直接データ送信も試みられる。
スカイは、HAPS(高高度プラットフォームステーション/システム)と呼ばれる航空機カテゴリーを開発する企業の一つだ。HAPSには飛行機や気球のほか、ヘリウムを充填した楕円形の機体にソーラーパネルを搭載したものなどがある。エアバス(Airbus)の子会社アールト(Aalto)をはじめとするHAPS関連企業は、災害現場へのインターネット提供や地球表面の観測など、さまざまな用途への活用を構想している。

COURTESY OF SCEYE
成層圏は広大なエリアをカバーしたい場合に最適な場所だ。また、最低高度の軌道を周回する人工衛星と比べてもはるかに地表に近いため、信号の送信に必要なエネルギーが大幅に少なくて済む。「私たちは宇宙に近い環境を提供しますが、宇宙へ行くコストも軌道上に留まる複雑さも不要です」と、スカイのCEO(最高経営責任者)兼創業者であるミッケル・ヴェスタゴー・フランセンは語る。
しかし、成層圏に留まり続けることは容易ではない。フランセンCEOによれば、スカイの機体は浮力を維持できるほど軽量でありながら、必要なシステムを搭載できるほど堅牢でなければならない。風によって定位置からずれた際にHAPSを元の位置に戻す電動ファンに24時間電力を供給するため、日中に十分な太陽エネルギーを吸収・蓄積する必要もある。この能力は2024年のテスト飛行で実証済みだ。
それ以来、スカイは日本での大規模テストに向けた準備を進めてきた。たとえば今春撮影されたこの飛行では、機体はブラジルの海岸まで飛行しながら12日間にわたって滞空し、さまざまな地点で合計88時間以上「停留」した。同社は将来的に、このプラットフォームが衛星事業者による人口密集地域へのサービス向上に貢献できると期待している。
いつの日か、HAPSを見かけることは、港に停泊する船や線路を走る列車を目にするのと同じくらい当たり前になるでしょうとフランセンCEOは語る。
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- レイチェル・コートランド [Rachel Courtland]米国版 企画編集者
- MITテクノロジーレビューの企画編集者。
