KADOKAWA Technology Review
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ビジネス・インパクト Make America Great Again

MIT編集長が考える、アメリカを再び偉大な国にする方法

トランプ大統領が議会に要求した予算構想どおりに米国政府の研究助成金が削減されれば、アメリカでイノベーションの動きが止まる可能性がある。研究開発費は増やすべきで、減らしてはいけないのだ。 by Jason Pontin2017.04.26

イギリスの詩人フィリップ・ラーキンは「たいていのことはまず起きない(Most things may never happen.)」と書いた。ひとつの党が政府の行政権と立法権を握っている場合でも、大統領の予算要求が修正なしに議会を通過することはない。議会は自らの予算決定権(米国政府の予算決定権は大統領にはない)に執着するものだし、議員は地元にとって重要な施策を守るため戦う。3月に発表された「アメリカ・ファースト:アメリカを再び偉大な国にするための予算のブループリント」は大統領の予算要求ですらなく、詳細を省いたドナルド・トランプ政権の優先事項を示すスケッチだ。もっといえば交渉術の言い値でしかない。とはいえブループリントにはホワイトハウスが関心を示す事柄が高らかに示される一方で、科学とテクノロジーに対する連邦政府の補助金は入っていなかった。

ブループリントでは米国立衛生研究所(NIH)の予算を60億ドル(18%)削減し、米国エネルギー省(DOE)の科学予算を9億ドル(20%近く)削減することを提案している。ホワイトハウスは米国環境保護庁(EPA)の科学プログラムの予算を40%削減し、米国大洋大気庁(NOAA)の研究予算は26%削減したい意向だ。奇妙なことに米国国立科学財団と同財団の75億ドルの予算、米国国防先端研究計画局(DARPA)の30億ドル近い予算については触れていない。おそらく5月に発表される正式な大統領の予算要求は、より具体的な内容になるだろう。しかしホワイトハウスは、米国エネルギー先端研究計画局(ARPA-E)に関しては態度を明確にしている。3億ドルの予算が割り当てられているに過ぎないARPA-Eは、次世代電池などのエネルギー・テクノロジーの開発を進めているが「民間企業の方が既存のエネルギーを置き換える研究開発に資金を出し、革新的なテクノロジーを商用化するには適している」から廃止すべきとされた。

科学とテクノロジーに割り当てる予算を削るという、この非理性的な感情はどこから沸いて来るのだろう? 間違いなく、理由のひとつは、単純に数字の足し引きだ。ブループリントでは国防費を540億ドル増やす一方で、連邦政府の赤字を全く増やさずに、社会保障費やメディケアは据え置くと確約している。何かを犠牲にせざるを得ず、NIHが予算を減らされた。EPAとNOAAが予算削減を食らった理由は、気候科学を軽視するトランプ政権の姿勢にあることは間違いない(米国行政管理予算局のミック・マルバニー局長は気候変動科学を「国民の血税の無駄遣い」呼ばわりし、トランプ大統領は「 …

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