KADOKAWA Technology Review
×
無料の会員登録で、記事閲覧数が増えます
持続可能エネルギー Russia Tells the UN It Wants to Produce More Renewable Energy

ロシアが表明した「再生可能エネ発電量10倍」の現実味

国内に原油や天然ガスの資源を豊富に抱え、再生可能エネルギーの後進国であったロシアが国連に向けて、再生可能エネルギーの増産を表明。2035年までに水力発電以外の再生可能エネルギー発電量を10倍以上に引き上げるとしている。 by Michael Reilly2017.08.04

Russian president Vladimir Putin surveys the construction of a hydroelectric facility in Eastern Russia.
ロシア東部の水力発電施設の建設現場を視察するウラジーミル・プーチン大統領

現在はそう見えないが、ロシアは環境にやさしい国になるかもしれない。 シベリアの永久凍土を溶かしている気候変動にはなんの関係もないことだが。

ウラジーミル・プーチン大統領が最近、クリーンエネルギーについて好意的な意見を述べているという事実は、ロシアが石油・ガスを扱う国有企業から莫大な富と経済的活力を得ていることを考えると意外に思えるかもしれない。 ロシアのエネルギー省も、国際再生可能エネルギー機関(International Renewable Energy Agency: IRENA)が最近発表した報告書を支持している。その報告書は、ロシアには再生可能エネルギー開発の余地が大いにあることを示唆している。

確かに、向上の余地はたっぷりある。今のところ、再生可能エネルギーはロシアのエネルギー消費量のうち3.6%(リンク先は有料記事)を占めているに過ぎないからだ。対照的に、米国は多くの国に遅れを取ってはいるが、エネルギー消費量の10%を再生可能資源から生み出している。

フィナンシャル・タイムズ紙の記事には、IRENAの報告書が引用されている。これによると、ロシアは2030年までに、エネルギー消費量に占める再生可能エネルギーの割合を11.3%まで引き上げられる可能性があるという。

数字自体は再生可能エネルギー先進国というには程遠いが、IRENAによると、これを実現するには年間およそ150億ドルの投資が必要になるだろうとしている。 仮に、プーチン大統領と現政権が口に出したことを本気で実行するつもりだとしても、ロシアには、政府の両腕となっている2大企業、天然ガス生産・供給において世界最大規模のガスプロム(Gazprom)と、最大の国営石油会社ロスネフチ(Rosneft)がある。両社の資金力や政治力によって、再生可能エネルギーの増産は困難になるかもしれない。

さらにロシアでは、全国的な送電網の設備が整っていないので、風力や太陽光で発電した電力を、発電した地域の外へ送ることができない。このことについては米国も同様に苦戦しているが、テキサス州における送電網改良の事例により、インフラへの大規模投資が再生可能エネルギーの普及に役立つことが実証された。

ロシアは米国と同様、パリ環境協定の参加国である(米国については、2017年6月1日にドナルド・トランプ大統領が同協定からの離脱を表明したが、現時点ではとりあえず参加している)。2020年までに、温室効果ガス排出量を1990年比で最低25%削減すると誓約している。目標をどうやって達成するのか全く不透明であり、削減に向けた今後の計画も示されていない一方で、ロシアは、石油・ガス採掘現場のガスフレアリング(余分なガスを燃焼させること)で生じる温室効果ガスを除去していると述べた。ロシア当局は、2017年5月8日からドイツのボンで開催された気候変動会議に先立って国際連合に向けた声明を発表し、2035年までに水力発電以外の再生可能エネルギー発電量を10倍以上に引き上げると述べた。

(関連記事:Financial Times、「テキサスで大成功の風力発電 どこも真似できない例外事例」)

人気の記事ランキング
  1. Biological Teleporter Could Speed Outbreak Response, Seed Life Through Galaxy 史上初の生体転送機、 米国のバイオ企業が披露
  2. Why “Magnetic Tape” is to be restored in the IoT era なぜ今、磁気テープなのか? IoT時代に躍進する データストレージ
  3. Verily Has Built a Robot to Release 20 Million Sterile Mosquitoes in California グーグルが蚊の大量飼育ロボットを開発、2000万匹を放出
  4. It Pays to Be Smart 日本企業がMITの スマート・カンパニーに ランクインしなかった理由
  5. First Object Teleported from Earth to Orbit 地上から衛星への量子テレポーテーションに初成功、中国チーム
タグ
クレジットPhotograph by Alexey Druzhinin | Getty
マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
「持続可能エネルギー」の記事
人気の記事ランキング
  1. Biological Teleporter Could Speed Outbreak Response, Seed Life Through Galaxy 史上初の生体転送機、 米国のバイオ企業が披露
  2. Why “Magnetic Tape” is to be restored in the IoT era なぜ今、磁気テープなのか? IoT時代に躍進する データストレージ
  3. Verily Has Built a Robot to Release 20 Million Sterile Mosquitoes in California グーグルが蚊の大量飼育ロボットを開発、2000万匹を放出
  4. It Pays to Be Smart 日本企業がMITの スマート・カンパニーに ランクインしなかった理由
  5. First Object Teleported from Earth to Orbit 地上から衛星への量子テレポーテーションに初成功、中国チーム
ザ・デイリー重要なテクノロジーとイノベーションのニュースを平日毎日お届けします。
公式アカウント