1億枚のインスタ画像を分析、機械学習が加速する人類学研究
ソーシャルメディアに日々、何百万枚も投稿される写真は、文化人類学の研究にとって未曽有の資源の宝庫だ。機械学習がこのデータの大鉱脈を採掘し始めている。 by Emerging Technology from the arXiv2017.06.20
「未来の人類学者が、何世紀にもわたって世界中の人物を撮影した何兆枚もの写真にアクセスし、分析したらどんな洞察が得られるだろう。そして、どのような新しい疑問に答えられるようになるのだろうか」。
ニューヨーク州イサカ市にあるコーネル大学の学生ケビン・マッツェンとカビータ・バラ教授、ノア・スネイブリー准教授は、こんなことを考えているうちに、ある着想を得た。
ソーシャルメディアには日々、何百万枚もの写真がアップロードされている。これらの写真を使って、世界各地の社会を形成する文化的要因、社会的要因、経済的要因を調べてみようと考えたのだ。現在のマシン・インテリジェンスは非常に強力なので、膨大なデータを掘り下げて調べれば、人類の文明に対する深い洞察を得られるはずだ。
実際、マシン・インテリジェンスの技術はすさまじいスピードで進歩している。マッツェンたちは、インスタグラムに投稿された1億枚の写真を、マシン・インテリジェンスを用いて調査することにした。
特に興味があったのは、衣服スタイルが世界の各地でどのように異なるかということだ。マシン・インテリジェンスは、衣服スタイルという文化現象を世界的な規模で調査するのに、まさに持って来いの方法だった。
調査により、たとえば、米国でのスカーフの使用頻度は時間とともにどのように変化しているのか、特定の地域や都市に特有なスタイルは何か、また反対にどのスタイルが世界中で人気なのか、といったことがわかるようになる。
調査は、インスタグラムにあがっている画像のうち、特定の地点から半径5キロメートル以内の場所で、特定の日から5日間以内に投稿されたものをダウンロードして実施した。
研究チームは調査対象とする44の都市を決めた。そして、2013年6月から2016年6月の間に、該当する場所で撮影され、5日間ごとに仕分けされた総計1億枚にのぼる画像をダウンロードした。
まず、標準的な顔認識プログラムを使って、顔が含まれていない写真を除去した。さらに、胴体が見えているという条件で検索して、上半身が写った1500万枚の画像を、場所と日 …
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