ビットコインに続く暗号通貨「リップル」に死角はないか
ビットコインに次ぐ規模にまで成長した暗号通貨ネットワーク「リップル(Ripple)」。分析から、ネットワークの強みと弱みが明らかになってきた。 by Emerging Technology from the arXiv2017.07.12
「六次の隔たり」は、ソーシャルネットワークを要約した表現だ。地球上の人間は誰でも、他のいかなる人々と、わずか6段階でつながるという考えである。ネットワーク科学者たちは長年、直感に反するこうした「スモール・ワールド」現象について、世界中にハガキや電子メールを送信する方法を使って研究してきた。
こうしたネットワークの中心部分には、人々が互いに形成するリンクがあり、そして友人や同僚とのリンクは見知らぬ人とのリンクよりはるかに強いという事実がある。
この事実から、信頼されたリンクを経由してハガキや電子メールを送信する代わりに、お金を送ったらいいのではないか、という興味深い可能性が生まれた。つまり、私たちは知らない他人と取引をすることは好まないが、友人となら好んで取引する可能性があり、そしてその友人が、ほかの友人と取引をすることで、最終的に指定した受取人に資金を届けられるという考え方である。
まさにこうした金融ネットワークが、すでにリップル(Ripple)という形で存在している。リップルは、ユーザーが自分の信頼するユーザーとまったく知らないユーザーとの接続を形成し、相互送金可能とすることに同意する決済ネットワークである。
リップルの目玉は、ユーザーが他の2人のユーザーと接続した場合、総額は一定に保たれつつも、各ユーザーに対して預けられた金額は変動する可能性があるということだ。これによって資金がネットワーク中を移動したり、伝播したりする、流動性が生まれる。そしてユーザーは、仲介者として少額の支払いを受ける。
リップルの大きなセールスポイントは、取引に必要なコストが低いことだ。ユーザーは取引の際に少額の費用を支払うことになるが、その額は他の送金手段に比べてはるかに少ない。
そしてリップルは、暗号通貨の世界における重要なプレーヤーの1つになった。多数の個人に加え、さまざまな銀行やその他の金融機関がリップルを使い始めている。その結果、今やリップルの時価総額は、暗号通貨の世界ではビットコインに次ぐ2番手となっている。
興味深いことに、リップルのすべての取引は、暗号化と定期的なクロスチェックによって、安全に記録されている。そしてそれらの取引には完全な透明性があるため、ネットワークやその特性について詳細な分析ができる。
インディアナ州ウエストラファイエットにあるパデュー大学のペドロ・モレノ=サン …
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