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AIの未来は人間との協働
グーグルが新プロジェクト
知性を宿す機械 Your Best Teammate Might Someday be an Algorithm

AIの未来は人間との協働
グーグルが新プロジェクト

人工知能は人間の仕事を奪うのではなく、手伝うもの。グーグルが新たに始めたプログラムは、AIと人間がより効率よく作業するための方法を探るものだ。 by Will Knight2017.07.12

グーグルは、人間と知性を宿す機械がペアを組んで、生産性の高い仕事を共同で出来るようにしたいとの願いを込めたプロジェクトを開始する。

「人間+AI研究(People + AI Research)」、略して「ペア(PAIR)」と名付けたプロジェクトを通じ、グーグルは人工知能(AI)システムの透明性を向上させるツールをリリースすることになる。さらにグーグルは人間とAIシステムが効果的に共同作業するあり方を探る目的で、複数の研究プロジェクトを立ち上げる予定だ。

人工知能が人間を押しのけて雇用を奪うことになるのではないかと懸念する声は最近多い。しかし実際のところ、AIテクノロジーは人間の仕事の一部を自動化して肩代わりする場合に限っては、強力な働きをする新しい道具となるものだ。

人間とAIアルゴリズムが共同で作業し相乗効果をあげる手法を生み出すことができれば、経済的には大きなインパクトが出てくるだろう。そして労働者に対する教育のあり方が変わってくる可能性もある。自動化の役割がさまざまな職場環境で高まりつつあることに対する拒絶反応を和らげる効果があるのかもしれない( 「Is Technology Destroying Jobs?」「Who Will Own the Robots?」を参照)。

ハーバード大学のバーバラ・グロース教授は長らく、人間に取って代わるのではなく人間のアシスタントになるよう、コンピューター科学者がAIシステムを設計するべきだと主張している。この発想が必要なのは、AIの能力が非常に限られているからだという。グロズ教授はさらに、人間と機械の能力を組み合わせることで、単純に足したよりも優れた成果が出せるようになる可能性があると付け加える。「全てのコンピューター同様、AIシステムはそれを利用する人間の役に立つような方向で開発を進める必要があります」。

AIアルゴリズムが人間と共同で仕事をするイメージの一部は、コンピューターゲームをする場面で見ることができる。チェスや碁をする人たちはコンピュータープログラムとチームを組むことで、よりハイレベルなプレイができる。このためには新しいスキルセットやゲームテクニックが必要となる。

グーグルの研究グループはペア・プロジェクトを発表するブログにおいて、「ここ数年間、機械学習は急速に進歩し、技術的な性能は劇的に向上しています」と書いている。「しかし我々としては、AIがもっと進化して人類全体の役に立てるようになると信じています。開発プロセスの最初から人間のことを考えてシステムを構築すればですが」。

ペア開発チームのリーダーは、フェルナンダ・ヴィエガスとマーティン・ワッテンバーグだ。2人は複雑な情報をより分かりやすく可視化する手法の開発を専門とする研究者だ。ヴィエガスとワッテンバーグはこれまで、複雑で抽象的な機械学習モデルの行動を明確に把握するためのツールを複数開発している。機械学習モデルは人から見るとブラックボックスなので、より幅広い場面で活用したいと願う人たちからは懸念の声が広がっている (「人類に残された、 AIを信用しない、 使わない、という選択肢」参照」)。

ペア・プロジェクトでは現在、有用な予測のために機械学習モデルの訓練に使う巨大なデータセットを可視化するツールを2つ提供中だ。こういった視覚化ツールがあれば、データ・サイエンティストが訓練データの不備を特定しやすくなる。

グロース教授によると、人間を上手くサポートできるAIシステムを構築するのは、特に開発者の能力が試される仕事だという。AIシステムの構造が複雑で判断をする経緯が見えにくいというのもあるが、人間と上手にコミュニケーションをとれるようにするのが非常に厄介な部分らしい。「どんな状況でも人間の精神状態をモデル化できるようにする必要があります」とグロース教授はいう。

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ウィル ナイト [Will Knight]米国版 AI担当上級編集者
MIT Technology ReviewのAI担当上級編集者です。知性を宿す機械やロボット、自動化について扱うことが多いですが、コンピューティングのほぼすべての側面に関心があります。南ロンドン育ちで、当時最強のシンクレアZX Spectrumで初めてのプログラムコード(無限ループにハマった)を書きました。MIT Technology Review以前は、ニューサイエンティスト誌のオンライン版編集者でした。もし質問などがあれば、メールを送ってください。
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