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自動化と低賃金労働者が支える
メキシコ自動車産業の未来
Trump Talk Aside, Auto Manufacturing and Automation Are Booming in Mexico

自動化と低賃金労働者が支える
メキシコ自動車産業の未来

米国のトランプ大統領は大手自動車メーカーを非難し、メキシコへの工場建設計画の撤退を迫ってきた。だが、メキシコのバヒオ地区を訪ねると、安い人件費と自動化を背景に躍進を続ける自動車エコシステムの姿を見ることができる。 by Amy Guthrie2017.07.21

2016年11月、ドナルド・トランプが製造業の雇用を取り戻すという公約を掲げて米国の大統領選に勝利した時、ジェネシス・システムズ(Genesis-ICESA Systems)のショーン・パットン事業開発責任者は、2017年度の販売予測を下方修正した。メキシコのバヒオ地区に本社を置くジェネシス・システムズは、自動化の導入に特化した同族企業で、米国への大量の輸出によって急成長するメキシコの自動車産業の需要に対応している。

2017年も半ばを過ぎたが、メキシコの自動車産業の勢いに失速の気配はなく、8年連続で過去最高の生産高と輸出量を記録することが見込まれてる。さらに、競争力を維持するため、メキシコの自動車産業はこれまで以上に自動化を推進している。1974年の創立以来、500台以上のロボットを設置してきたジェネシス・システムズは、2017年上半期の受注件数が2016年上半期から倍増しており、過去最高の年になりそうなほど成長軌道に乗っている。パットン責任者は、「ロボット産業にとって素晴らしい年になるでしょう」と言う。

米国の製造業者が、これまで人間がしてきた仕事をロボットに任せる取り組みを進めるのと同様に、メキシコも工場の自動化という未来に突き進んでいる。ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の予測では、メキシコでは2025年までに30%強の作業をロボットが担うことになる。ちなみに、現在の世界平均値は10%だ。中国、日本、米国はより速いペースで自動化が進んでおり、2025年には45%もの作業をロボットに任せている可能性があるとBCGは予測している。

メキシコでの自動化を推進しているのが、特定の製造作業の自動化に使われるワークステーションの設計・組み立てを行うジェネシス・システムズのような企業だ。うだるような暑さの6月のある木曜日、パットン責任者が案内してくれたのは、かつてタイヤ工場があった約3700平方メートルの敷地に建設された施設だった。2棟の巨大な倉庫には、至る所に鮮やかな機械や金属構造物が設置され、それを蛍光灯が照らし、くすんだコンクリートの床に赤、青、黄色の模様をちりばめていた。そして、金属同士が接触したり、鋼板を正確に削る巨大なプレス機の中で空気が圧縮されたりといった、耳障りな音が流れていた。

ジェネシス・システムズは100人近くのメキシコ人を雇用しており、そのほとんどが、セルと呼ばれるワークステーションの設計か組み立てを行うエンジニアだ。顧客の工場では、セルごとに1台以上のロボットが、自動車部品のねじ締めといった特定の作業を行う。ワークステーションには、まるごと輸送できる自己完結型の箱型のものもあれば、再演を重ねる演劇の小道具のように細かいものもある。

この日も、さまざまな設備があった。テスラの自動車の座席にロボットが部品を取り付ける間、座席を固 …

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