KADOKAWA Technology Review
×
【4/24開催】生成AIで自動運転はどう変わるか?イベント参加受付中
「発電所以外」の温室効果ガス、依然として打つ手なし
David McNew | Getty
ニュース Insider Online限定
We still have no idea how to eliminate more than a quarter of energy emissions

「発電所以外」の温室効果ガス、依然として打つ手なし

温室効果ガス削減と聞くと火力発電所の置き換えに関心が向かいがちだ。だが、火力発電所以外にも、航空、海運、セメント製造・製鉄などの多量の温室効果ガスを排出している産業分野がある。しかもこれらの分野の多くで、決め手となる対策がない。 by James Temple2018.07.03

気候に関する議論では大抵、化石燃料による発電所を風力タービンや太陽光発電パネルなどのテクノロジーで置き換える必要性が話題の中心となる。

ところが、サイエンス誌に掲載された新しい論文により、厳然たる事実を思い出すこととなった。世界のエネルギー・システムには依然として、温室効果ガスの排出を廉価な方法で止められない巨大分野が残っている。

航空機での移動、長距離運輸、海運、製鉄、セメント製造業、「負荷追従」型発電(後述)からの温室効果ガス排出量は、地球全体のエネルギーおよび産業部門の排出量の27%を占める。論文の著者らによると、これらの排出源からの排出量を削減するには、さらに多大な研究、イノベーション、戦略調整が必要だという。

論文の筆頭著者であるスティーブン・デイビス准教授は、「気候目標を本気で達成するには、これらの解決困難な分野に今すぐ取り組む必要がある」という。デイビス准教授は地球システムを研究する科学者で、カリフォルニア大学アーバイン校に所属している。30人を超える共著者には、スタンフォード大学のサリー・ベンソン教授、カーネギー研究所のケン・カルデイラ博士、カリフォルニア工科大学のネイサン・ルイス教授、マサチューセッツ工科大学(MIT)のジェシカ・トランシック准教授とイェット・ミン・チャング教授などの著名人の名前が挙げられている。

航空、トラック輸送、海運

コストが下がり、性能が向上しているリチウムイオン電池と水素燃料電池のおかげで、運輸業界の大きな部分で排出量削減に着手できるようになった。対象分野には自動車、軽トラック、短いセミトレーラーなどが含まれる。

ただしリチウムイオン電池と燃料電池は依然として重量と価格の負担が大き過ぎるため、長距離トレーラー輸送や海運には向かない …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る