KADOKAWA Technology Review
×
認知心理学に着想、人間以上の質問能力を持つ人工知能が登場
Brenden Lake and Anselm Rothe
ニュース Insider Online限定
This Inquisitive AI Will Kick Your Butt at Battleship

認知心理学に着想、人間以上の質問能力を持つ人工知能が登場

人間と機械とでは、質問をする能力に極めて大きな差がある。ニューヨーク大学の研究者たちは、認知心理学に着想を得て、人間にも勝る質問をするAIシステムを開発した。この技術を応用することで、より有用で使いやすいシステムを構築できそうだ。 by Will Knight2017.11.22

非常に好奇心旺盛な人工知能(AI)システムがニューヨーク大学の研究者たちによって開発された。バトルシップ(海戦ゲーム)に似たゲームを学習したこのAIシステムは、びっくりするような腕前を発揮した。

研究者たちが作ったゲーム自体は簡単なものだ。プレイヤーは対戦相手に対し、一文字の数字か単語で答えられる一連の質問をして、マス目の裏に隠れた相手の船を探す。研究者たちが開発したAIシステムは、できるだけ効率よく相手の船を探すために、どのような質問をすればよいかを見つけ出すことができる。

このシステムは認知心理学から着想を得たもので、今日のほとんどのAIシステムとは根本的に異なるアプローチを用いている。機械が物理世界に関する有用な質問をする方法を、どのようにして学べばよいのかを示すためのものである。質問を小さなプログラムとして扱い、いくつかの例から学習して、学習したことに基づいて独自の質問を作り出せる。

ゲームを開発したのは、ニューヨーク大学のブレンデン・レイク助教授、トッド・グレキス准教授、大学院生のアンセルム・ロスだ。「人間と機械とでは、物理世界に関する情報を把握するための質問をする能力に、とてつもなく大きな差があります」とレイク助教授は語る。

研究者たちはまず、ゲームを人間にプレイさせて、ゲーム中にプレイヤーがした質問を記録した。それから、それらの質問を概念的要素に変換した。例えば、「青い船 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
【春割】実施中! ひと月あたり1,000円で読み放題
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る