KADOKAWA Technology Review
×
6/15開催 「生成AI革命2」参加受付中【会員優待あり】
For Years, China Felt Awkward About Dominating the Globe in E-Sports

お金と勉強はどっちが大事?
中国と欧米、価値観の違い

ゲーム大会で優勝し900万ドル以上を手に入れても「学校で勉強しろ」。中国人は何を目標に生きているのか? by Michael Reilly2016.08.29

最近の超一流ゲーマーが最高なのは1回のトーナメントで何百万ドル単位の賞金を稼げることだ。これ以上があるとすればイギリスのプレミアリーグチームの選手登録名簿に載ることくらいだ。そんな状態のeスポーツの世界は、無名の状態から立ち上がり、今やオタク系のエンターテインメントというよりも、巨大なビジネスにまで成長した。中国では、国家的威信の源にさえなっている。

A scene from The International in 2014.
2014年の「ジ・インターナショナル」の模様

以前はここまでは盛り上がっていなかった。中国チームは何年も、eスポーツ界の頂点でずっと競っていた。米国ワシントン州シアトルで開催されるeスポーツのトーナメント大会「ジ・インターナショナル」(今年度の賞金総額は2000万ドル以上)でも中国チームはずっと優勢であり、戦略ゲーム「DOTA 2(Defense of the Ancients 2)」では過去5回の選手権で3回も優勝している。しかし フォーリンポリシー誌の記事が 指摘しているように、中国の文化はごく最近までビデオゲームに眉をひそめてきた。

両親は、子どもに家族とともに過ごし、中国の過酷な受験制度で勝ち残るために勉強して欲しいと思っており、子どもから携帯電話などの電子機器を奪い取り、軍隊式の訓練に耐えることでインターネット中毒を治療するキャンプに送り込んでいる。報道によれば、最も悪名の高いキャンプでは、臨床精神科医の杨永信氏が、子どもたちに主要な治療方法として電気ショックを用い、向精神薬を処方していた。その後、中国政府は治療キャンプによる電気治療の使用を禁止したが、キャンプに参加した多くの子どもたちが、一生心に傷を負ったという。

状況は急速に変化している。チーム「Wings Gaming」が北米チーム「DC」を5セットの決勝戦で破った時、中国のゲームに興味がない人までが微博(Weibo、中国版Twitter)に投稿し、Wings Gamingの勝利を祝福し、大喜びした。

ただし、西洋世界の人が想像する反応とはだいぶ異なる。米国では伝統的な教育を捨ててでも自分の夢の実現に突き進めと応援されることがあるが、Wings Gamingの張一平キャプテン(18歳)が微博でファンに感謝すると、900万ドル以上の優勝賞金をチームで分配した張キャプテンに、学校に戻るためにゲームをやめた方がよいとコメントした者がいるのだ。

関連ページ

人気の記事ランキング
  1. Meet the people who use Notion to plan their whole lives 生産性マニアが「Notion」で生活の95%を回す理由
  2. MITTR Emerging Technology Nite #23 Plus MITTR主催「生成AI革命2」開催(オンライン&東京)のご案内
  3. A chatbot that asks questions could help you spot when it makes no sense チャットGPT、「質問付き」回答で騙される人が減ることが判明
タグ
クレジット Photograph courtesy of Jakob Wells | Flickr
マイケル レイリー [Michael Reilly]米国版 ニュース・解説担当級上級編集者
マイケル・レイリーはニュースと解説担当の上級編集者です。ニュースに何かがあれば、おそらくそのニュースについて何か言いたいことがあります。また、MIT Technology Review(米国版)のメイン・ニュースレターであるザ・ダウンロードを作りました(ぜひ購読してください)。 MIT Technology Reviewに参加する以前は、ニューサイエンティスト誌のボストン支局長でした。科学やテクノロジーのあらゆる話題について書いてきましたので、得意分野を聞かれると困ります(元地質学者なので、火山の話は大好きです)。
生成AI革命

自然な文章を生成するチャットGPT(ChatGPT)/GPT-4などの大規模言語モデル、テキストから画像を生成できるDALL·E 、Stable Diffusion、Midjourneyなどの拡散モデルの登場は、私たちの生活やビジネスを大きく変えようとしている。
人工知能(AI)の新時代を牽引する「生成AI(ジェネレーティブAI)」革命の最前線を追う。

記事一覧を見る
人気の記事ランキング
  1. Meet the people who use Notion to plan their whole lives 生産性マニアが「Notion」で生活の95%を回す理由
  2. MITTR Emerging Technology Nite #23 Plus MITTR主催「生成AI革命2」開催(オンライン&東京)のご案内
  3. A chatbot that asks questions could help you spot when it makes no sense チャットGPT、「質問付き」回答で騙される人が減ることが判明
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.10
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.10世界を変えるU35イノベーター2022年版

人工知能(AI)/ロボット工学、インターネット、通信、コンピューター/電子機器、輸送、持続可能性、生物工学など幅広いテクノロジー領域で活躍する2022年の日本を代表する若手イノベーター14人、米国・中国・欧州などで活躍するグローバルのイノベーター35人を一挙紹介する。

詳細を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る