KADOKAWA Technology Review
×
12/16開催 「再考ゲーミフィケーション」イベント参加受付中!
採算にめど、二酸化炭素貯留テクノロジーがついにやってくる
photolibrarian | Flickr
ニュース Insider Online限定
The carbon-capture era may finally be starting

採算にめど、二酸化炭素貯留テクノロジーがついにやってくる

地球温暖化対策に有効とされる二酸化炭素貯留テクノロジーはこれまで、採算が合わないとしてあまり顧みられずにいた。だが、米国では2月に成立した法律に基づく税額控除によって、産業部門の温室効果ガス排出を短期間で削減できる可能性が見えてきた。 by James Temple2018.03.13

ドナルド・トランプ大統領が2月に署名して成立した法律に対する予算案は、排出された二酸化炭素の回収・貯蔵に対する非常に大きなインセンティブをもたらす内容となっている。

法律が成立してからエネルギー研究者たちはそろばんを弾いてきた。そして今回の税額控除の拡大により、多くのプロジェクトで長らく採算が合わないとされてきた二酸化炭素貯留テクノロジーが、ついに日の目を見る可能性が出てきたとの結論に達した。

今回の規定により、発電所の改良にかかる莫大な費用を完全にまかなえるわけではないが、支出額が減るのは間違いない。以前は非常に困難だった二酸化炭素排出源からの排出量を、すぐにも削減できる可能性がある。その排出源とは産業部門であり、米国の温室効果ガス排出のかなりの割合を占めている。

「今後数年内に、何十もの二酸化炭素貯留プロジェクトが誕生すると思います。税額控除の拡大がなければ、こんなことは起こらないでしょう」と非営利団体「エネルギーの未来のためのイニシアチブ(Energy Futures Initiative)」のフリオ・フリードマン博士はいう。フリードマン博士は以前、米国エネルギー省の化石エネルギー局で第一副次官補を務めた人物だ。

エネルギー研究者のほとんどが、二酸化炭素の回収・貯蔵こそが、拡大しつつある気候変動の脅威への現実的な対応策のカギになると考えている。複数の研究結果によると、二酸化炭素の回収・貯蔵テクノロジーが実現しなければ、地球の気温が2 ˚C以上上昇するのは避けられない可能性があるという( 「二酸化炭素を完全に回収、「未来の火力発電所」が間もなく稼働」を参照)。

今回の税額控除は、発電所や工場から排出される二酸化炭素を回収する二酸化炭素回収テクノロジーに等 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Google’s antitrust gut punch and the Trump wild card グーグルに帝国解体の危機、米司法省がクローム売却も要求
  2. Promotion MITTR Emerging Technology Nite #31 MITTR主催「再考ゲーミフィケーション」開催のご案内
  3. This startup is getting closer to bringing next-generation nuclear to the grid 次世代原子炉のカイロス、商用化へ前進 グーグルと大型契約も
日本発「世界を変える」U35イノベーター

MITテクノロジーレビューが20年以上にわたって開催しているグローバル・アワード「Innovators Under 35 」。2024年受賞者決定!授賞式を11/20に開催します。チケット販売中。 世界的な課題解決に取り組み、向こう数十年間の未来を形作る若きイノベーターの発掘を目的とするアワードの日本版の最新情報を随時発信中。

特集ページへ
MITTRが選んだ 世界を変える10大技術 2024年版

「ブレークスルー・テクノロジー10」は、人工知能、生物工学、気候変動、コンピューティングなどの分野における重要な技術的進歩を評価するMITテクノロジーレビューの年次企画だ。2024年に注目すべき10のテクノロジーを紹介しよう。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る