KADOKAWA Technology Review
×
フェイスブックの大量情報流出事件、研究者にはどう影響?
Meissa Hampton
ニュース 無料会員限定
The Cambridge Analytica affair reveals Facebook’s ‘Transparency Paradox’

フェイスブックの大量情報流出事件、研究者にはどう影響?

フェイスブックのデータ流出事件は、ソーシャル・ネットワークの影響を分析している研究者にも衝撃を与えた。MITスローン経営大学院のシナン・アラル教授に話を聞いた。 by Martin Giles2018.03.29

データ利用規約違反により、フェイスブックから追い出されたデータ・マイニング企業、ケンブリッジ・アナリティカ(Cambridge Analytica)を取り巻くスキャンダルはますます大きくなりつつある。3月19日には同社のアレクサンダー・ニックスCEO(最高経営責任者)の謀略活動が英国のテレビ番組で紹介され、スパイ、罠、フェイクニュースを使って選挙に影響を及ぼす方法を誇らしげに語るニックスCEOの姿が放送された。英国で個人情報保護を管轄する情報コミッショナー事務局(ICO)のエリザベス・デナム委員長は、ケンブリッジ・アナリティカのサーバーとデータベースを調べるため、裁判所命令を要請した。

同日、フェイスブックは、デジタル・フォレンジック(デジタルデータの保全・復元・解析)企業を雇ってケンブリッジ・アナリティカが英ケンブリッジ大学のアレクサンドル・コーガン教授(心理学)から入手したといわれるデータを現在も保存しているかどうかを調べさせると発表した。コーガン教授は数年前に研究目的でフェイスブックのプラットホームへのアクセス権を入手していた。コーガン教授はそのアクセス権を利用してフェイスブック・ユーザー約5000万人の情報を収集した。この件を内部告発をしたケンブリッジ・アナリティカの元従業員であるクリストファー・ワイリーとコーガン教授は、フェイスブックのアカウントを停止された。

この事件と、2016年の米国大統領選挙でドナルド・トランプ大統領を勝利に導くためにケンブリッジ・アナリティカのデータがどのように利用されたのかをめぐる事後分析が今や最高潮に達している。これはフェイスブックの混乱にさらに輪をかけるだろう。フェイスブックは、1日に370億ドルもの時価総額を失い、さらにアレックス・スタモス最高セキュリティ責任者(CSO)も失うかもしれない。スタモスCSOは、ロシアがフェイスブックを利用して偽情報を拡散したことに関し、フェイスブックのあるべき透明性について経営トップと衝突したと伝えられている。

きわめて重要な懸念の1つは、フェイスブックを巡る一連の出来事によって、現在、ソーシャル・ネットワークが生活に及ぼしている巨大な影響力に焦点をあてて分析しようとしている研究者の努力が阻まれる可 …

こちらは会員限定の記事です。
メールアドレスの登録で続きを読めます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
10 Breakthrough Technologies 2024

MITテクノロジーレビューは毎年、世界に真のインパクトを与える有望なテクノロジーを探している。本誌がいま最も重要だと考える進歩を紹介しよう。

記事一覧を見る
気候テック企業15 2023

MITテクノロジーレビューの「気候テック企業15」は、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する、あるいは地球温暖化の脅威に対処できる可能性が高い有望な「気候テック企業」の年次リストである。

記事一覧を見る
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る