KADOKAWA Technology Review
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Virtual Reality, with Feeling

心拍数高いよ!ビビってる?
次世代VRゴーグルで感情検出

人間の表情のわずかな変化を読み取ることで、イギリスのスタートアップ企業が、VRに感情を追加しようとしている。 by Jamie Condliffe2016.09.09

没入型の実質現実(VR)をより本物らしくするには、視覚だけでは足りない。イギリスのあるスタートアップが、実質現実の世界に感情を付加する、いい方法を開発した。

以前にも、外部カメラで顔の各部位の動きを観察し、VRに感情を反映させる方法があった。エムテク(Emteq)が開発した新システムでは、カメラではなく、VRヘッドセット内蔵の小型センサーで人体から生じる電気信号や心拍数、筋肉の動きを計測する。エンジニアリング・アンド・テクノロジー誌によれば、「フェイステク(Faceteq)」システムでは、カメラによる視覚的計測方法より、ユーザーの感情的反応をより幅広く捉えられるという。

システムが検出したユーザーの感情は、実質現実の世界にいるアバターに反映される。ゲームでも職場でも、用途は明確だ。仮想世界で、他のユーザーの感情がわかれば、現実感のレイヤーがひとつ加わるし、もしかすると、ゲームをプレイ中の感情(実は恐怖を感じているなど)まで知られてしまうかもしれない。

VRの現実感を増す手法は他にもある。小さなスタートアップ企業のマイダス・タッチゲームズは、精度をさらに高めた物理エンジンを開発中で、仮想世界内の人間の動きをよりリアルに見せようとしている。また、ドルビーのような音響テクノロジー企業は、3Dサウンドをできる限りリアルにしようとしている。

そのうちVRゴーグルを全く外さずにすむ時代が来るかもしれない。

(関連記事:Engineering & Technology, “The Quest to Put More Reality in Virtual Reality,” “Virtual Reality Actually Feels Real When It Uses Physics”)

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クレジット Photo by Axel Schmidt | Getty
ジェイミー コンドリフ [Jamie Condliffe]米国版 ニュース・解説担当副編集長
MIT Technology Reviewのニュース・解説担当副編集長。ロンドンを拠点に、日刊ニュースレター「ザ・ダウンロード」を米国版編集部がある米国ボストンが朝を迎える前に用意するのが仕事です。前職はニューサイエンティスト誌とGizmodoでした。オックスフォード大学で学んだ工学博士です。
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