強化学習でルービック・キューブを独学、平均30手で解くAI
カリフォルニア大学アーバイン校(UCI)の研究者がルービック・キューブの解き方を独習する人工知能を開発した。ランダムに混ぜられたキューブを平均30手で解くことができるという。 by Emerging Technology from the arXiv2018.07.24
またしても、人間の技能と知性の砦が機械の猛攻に敗れた。新しい深層学習マシンは、人の手助けなくルービック・キューブの解き方を独習した。
この新しいアプローチは、コンピューター科学における重要な問題に取り組む画期的なものだ。重要な問題とは、コンピューターが最小限の手助けしか受けられないときに複雑な問題をどのように解くのかということだ。
先に背景を説明しておこう。ルービック・キューブは、ハンガリー人の発明家エルノー・ルービックが1974年に開発した3次元パズルである。キューブ(立方体)の6面をそれぞれ同じ色のタイルで揃えることがパズルの最終目標となる。ルービック・キューブは世界中でベストセラーのおもちゃとなり、3億5000万個以上が販売された。
コンピューター科学者や数学者も、このパズルに大いに関心を寄せた。学者たちの興味をそそった問題が、あらゆる状態からパズルを解くために必要な最も少ない手数だ。2014年、答えは26手だと証明された。
もう1つの共通の問題は、あらゆる状態からパズルを解けるアルゴリズムの設計だ。ルービック自身が、このおもちゃを発明してから1カ月もたたずに、この問題を解くアルゴリズムを思い付いた。
しかし、プロセスの自動化の試みは、人間が作ったアルゴリズムに完全に依存している。
最近になって、コンピューター科学者は、機械自身で問題を解決する方法を見つけ出そうとしてきた。アイデアの1つとしては、チェスや囲碁といったゲームで成功を収めているアルゴリズムと同じ種類のアプローチを用いることだ。
このシナリオでは、深層学習マシンにゲームのルールを与え、機械が自分自身と対戦する。ここで重要なのは、そのとき取った手に応じて、ステップごとに報酬を与えることだ。この報酬プロセスは、機械が良い手・悪い手を判別するのに役立つため、きわめて重要だ。言い換えれば、 …
- 人気の記事ランキング
-
- Inside the race to find GPS alternatives GPSに代わる選択肢を、 地球低軌道で100倍強い 次世代測位システム
- Promotion MITTR Emerging Technology Nite #33 バイブコーディングって何だ? 7/30イベント開催のお知らせ
- Promotion Call for entries for Innovators Under 35 Japan 2025 「Innovators Under 35 Japan」2025年度候補者募集のお知らせ
- Trajectory of U35 Innovators: Yoichi Ochiai 落合陽一:「デジタルネイチャー」の表現者が万博に込めた思い
- Cybersecurity’s global alarm system is breaking down 脆弱性データベースの危機、 「米国頼み」の脆弱性が露呈
- Why the US and Europe could lose the race for fusion energy 核融合でも中国が優位に、西側に残された3つの勝機