KADOKAWA Technology Review
×
Facebookログイン終了のお知らせ(2026/3/31 予定)
不妊治療の女性に希望を、
機械学習でIVFを変える
スタートアップ企業
Emily Haasch
人工知能(AI) Insider Online限定
A startup that marries AI with empathy is helping women conceive

不妊治療の女性に希望を、
機械学習でIVFを変える
スタートアップ企業

体外受精(IVF)による不妊治療に取り組む女性たちにAIによる正確な予測を提供する米国のスタートアップ企業が注目されている。 予測の正確さだけでなく、詳細で分かりやすいレポートを使った共感的なコミュニケーションが支持され、患者に希望を与えている。 by Karen Hao2019.08.20

シバニは、30歳の誕生日が近づくにつれて、母親になりたがっている自分がいることに気づいた。シバニがいつ母親になれるのかは定かではなかった。長く付き合っているパートナーもいないし、出産適齢期が刻々と過ぎようとしていることも知っていた。そこでシバニは、後の人生で子どもを授かる可能性を高めるために、卵子を凍結することを検討した。「残念ながら、卵子を永久に持てる人はいませんから」(シバニ)。

インド系の移民コミュニティに属しており、そこでの論争を避けるため実名を使用しないように求めたシバニは、卵子凍結をすぐには受けなかった。卵子凍結のテクノロジーは新しすぎる上に、侵略的だと感じたからだ。しかし、36歳の誕生日を迎えるころには、これ以上は待てないと考えるようになった。卵子凍結の費用として見積もっていた1万5000ドルをなんとか用意し、クリニックを訪れた。

女性はまず、卵子の採取を始める前に、体外受精(IVF)に適しているかどうかを判断するための診断を受ける必要がある。クリニックは診断にあたって、IVFの結果の全国記録を利用し、患者の年齢層で出産に成功した女性がどれだけいるかを調べる。それから、不妊治療の専門家が、患者の身長や体重、超音波検査や血液検査などの結果を考慮して、全国記録から得た割合の値を調整する。

シバニも同様の方法で診断を進めた。年齢を報告し、ボディマス指数を測り、いくつかの検査を受けた。しかし、シバニが自身の今後について話し合うためにクリニックを再来すると、担当医は色とりどりのレポートを彼女に渡し始めた。このレポートは、シバニの情報を機械学習アルゴリズムに読み込ませて作成されたものだ。そこには、最大3回の卵子採取サイクルごとに子を授かる可能性がどれだけ増えるかを示す、個別の予測結果が記されていた。同じクリニックで治療を受けた他の女性との比較結果もある。「すでに100%妊娠できると約束されていましたが、レポートを見て120%妊娠できると感じました。おかげで決意が固まりました」とシバニは話す。

IVFは、肉体的、精神的、そして金銭的にも負担がかかる治療であり、複数回の卵子採取サイクルが必要になることが多い。IVFを開始した女性のうち、最初のサイクルで妊娠に失敗した女性の50%以上は、費 …

こちらは有料会員限定の記事です。
有料会員になると制限なしにご利用いただけます。
有料会員にはメリットがいっぱい!
  1. 毎月120本以上更新されるオリジナル記事で、人工知能から遺伝子療法まで、先端テクノロジーの最新動向がわかる。
  2. オリジナル記事をテーマ別に再構成したPDFファイル「eムック」を毎月配信。
    重要テーマが押さえられる。
  3. 各分野のキーパーソンを招いたトークイベント、関連セミナーに優待価格でご招待。
人気の記事ランキング
  1. Promotion Emerging Technology Nite #36 Special 【3/9開催】2026年版「新規事業の発想と作り方」開催のお知らせ
  2. EVs could be cheaper to own than gas cars in Africa by 2040 アフリカでEVがガソリン車より安くなる日——鍵は「太陽光オフグリッド」
  3. RFK Jr. follows a carnivore diet. That doesn’t mean you should. 「肉か発酵食品しか食べない」米保健長官が目指す「健康な米国」
  4. Why EVs are gaining ground in Africa アフリカ初のバッテリー工場も建設中、「次のEV市場」は立ち上がるか?
MITテクノロジーレビューが選んだ、 世界を変える10大技術

MITテクノロジーレビューの記者と編集者は、未来を形作るエマージング・テクノロジーについて常に議論している。年に一度、私たちは現状を確認し、その見通しを読者に共有する。以下に挙げるのは、良くも悪くも今後数年間で進歩を促し、あるいは大きな変化を引き起こすと本誌が考えるテクノロジーである。

特集ページへ
AI革命の真実 誇大宣伝の先にあるもの

AIは人間の知能を再現する。AIは病気を根絶する。AIは人類史上、最大にして最も重要な発明だ——。こうした言葉を、あなたも何度となく耳にしてきたはずだ。しかし、その多くは、おそらく真実ではない。現在地を見極め、AIが本当に可能にするものは何かを問い、次に進むべき道を探る。

特集ページへ
フォローしてください重要なテクノロジーとイノベーションのニュースをSNSやメールで受け取る