「医師の助言」はウェアラブル・デバイスで事業化できるか?
米国政府が資金を提供したMD2Kプロジェクトで生まれたテクノロジーによって、消費者向け製品がリアルタイムで健康情報を提供できるようになる。 by Elizabeth Woyke2016.12.01
次世代のアップル・ウォッチやフィットビット(Fitbit)、アンドロイド・ウェア(Android Wear)のガジェットは単に健康データをスマホに送信するだけでなく、社会全体の健康問題を緩和できるだろう。
「MD2K」は、ビッグデータの手法をモバイル・センサーに応用する、米国政府が資金を提供したプロジェクトだ。ウェアラブル・センサーが収集する健康データを集積し、分析するハードウェアとソフトウェアを開発する目的で、米国国立衛生研究所から1080万ドルの資金が提供された。MD2Kの最終目標は、センサーやデータを利用して依存症の再発といった「有害な健康上の現象」を予測して防ぐことだ。MD2Kは研究者や医師が対象だが、ツールは自由に利用できるため、革新的な手法を消費者向けウェアラブル機器にも転用できる。
市販されているウェアラブル・デバイスでは、製品が収集するのはユーザーの歩数や心拍数といった健康データに限られ、しかもセンサーからの生データではなく、データを解釈した結果としての歩数や心拍数を表示するため、研究には適さない。さらに、そうした製品の電池は丸1日分のデータを頻繁に取得して収集できるほどの容量がなく、収集データの不確実性も定量化できない。
そうした短所を解決するため、MD2K のチームは12大学にまたがり、1回の充電で24時間さまざまな生の信頼できるセンサーデータを収集できるガジェットを開発した。たとえば「モーションセンス」はユーザーの腕の動きをセンサーで読み取り、心拍数の変化を調べるスマート・ウォッチだ。「イージーセンス」は胸の近くに装着する小型のレーダー・センサーで、心臓の活動や肺の液 …
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