シカゴのダウンタウンからおよそ50キロメートルの位置にあるアルゴンヌ国立研究所(Argonne National Laboratory)の科学者たちは、宇宙の起源と進化を理解し、より長持ちする電池を作り、精密がん治療薬を開発しようと研究に取り組んでいる。
これらのまったく異なる問題には、ある1つの共通点が存在する。そのとてつもない巨大なスケールゆえに、骨が折れるということだ。 新薬発見の世界では、太陽系にある原子の数よりも多い潜在的な薬品に類似する分子があると推定されている。人間の時間スケールの範囲でこうした広大な可能性がある空間を探索するには、強力かつ高速なコンピューター処理が必要だ。 最近までそうしたコンピューター処理は利用できず、新薬発見に必要なタスクは計り知れないものだった。
だが、ここ数年で人工知能(AI)が状況を変えた。 深層学習アルゴリズムは、一連のデータのパターンをすばやく見つけることに優れており、科学的な発見の主要なプロセスを高速化している。現在ではAIソフトウェアの改善に加えて、「ハードウェア革命」の到来も視野に入ってきた。
アルゴンヌ国立研究所は11月19日、深層学習アルゴリズムの訓練の超高速化を目指すスタートアップ企業「セレブラス(Cerebras)」の新しいコンピューターの試験開始を発表した。 世界最大級のチップを搭載するこのコンピューターは、新世代のAI特化型ハードウェアの一部だ。
「私たちは、科学的な問題のためAIアプリケーションを高速化することに関心があります」。アルゴンヌ国立研究所でコンピューティング・環境・ライフサイエンス領域を担当するリック・スティーブンス副所長は話す。「当研究所には膨大な量のデータとビッグ・モデルがあり、それらのパフォーマンスの向上に関心を持っています」。
現在、深層学習では使用されているもっとも一般的なチップは、GPU(画像処理装置)だ。GPUは優れた並列プロセッサーであり、AI分野 …
- 人気の記事ランキング
-
- This scientist rewarmed and studied pieces of his friend’s cryopreserved brain 10年冷凍保存の脳は「驚くほど良好」——蘇生は「まったく別の話」
- Future AI chips could be built on glass AIチップの熱問題、解決策は「ガラス」 年内に商業生産へ
- What do new nuclear reactors mean for waste? 新型原子炉が続々登場、核廃棄物管理の「手引き」は書き直せるか
- The Pentagon is planning for AI companies to train on classified data, defense official says 【独自】米国防総省、軍事機密データでAIモデルの訓練を計画